出版社内容情報
ルネサンス史家にして、偉大なヨーロッパ史家、歴史思想家でもあったブルクハルトの遺産を解明。
内容説明
ルネサンス史家としての名声におおわれて、ヨーロッパ史家・歴史思想家としてのブルクハルトの意義は十分に認識されていないようである。本書は、巨匠のヨーロッパにおける豊かな精神遺産の享受の評価を明らかにするとともに、その本質にもふれようとする。読者は本書に収められた4篇によって、ランケと同格のヨーロッパ史家を知り、ヘーゲルやニーチェの相手役としての歴史思想家ブルクハルトの風貌に導かれるであろう。
目次
ブルクハルトとスペイン
ブルクハルトとネーデルランド
ブルクハルトとフランス
ブルクハルトと英語世界
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
greenman
1
ブルクハルトはイタリアの文化とルネッサンスについて有名な本を出した歴史家だが、しかしブルクハルトの歴史と美学の射程はイタリアだけに留まってはいなかった。スペイン、フランス、オランダ、そして英語世界を含んだ視野も含めてブルクハルトは世界史への考察とアプローチを行っていたことが本書を読んでよくわかった。そして彼の目指した世界観はすぐに廃れてしまう歴史解釈ではなく、永続的に続く歴史への深い洞察(時間)と広い世界(空間)への独自の想像力こそが彼の魅力的な文章を紡ぎだせたのだと思う。2013/01/06