感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ラウリスタ~
9
タイトルからするとバルトがメインのようだが、原題を見て見るとちょっと(というかだいぶ)ニュアンスが異なる。ブリア=サヴァランの『味覚の生理学』、バルトによる読書ノート付き、って感じか。バルトの面白い文章があるというよりかは、サヴァランの馬鹿げた、それなりに面白いグルメ本の6割にカット版が読めるという本。日本で売るとしたら当然バルトの名で釣るしかないだろう、なにか別の種類の本と勘違いされるから。もっとも19世紀初頭にグルメ本の古典として地位を確立し、バルザックに賞賛されボードレールに貶された文学作品ではある2014/12/01
➖
2
なによりも、糖質(でんぷん質)が肥満の要因であることなど、200年も前の食品化学や栄養学のレベルに驚いた。2019/02/10
りう
1
久々のバルト。まず本書の八割を占める、ブリヤ=サヴァラン「美味礼賛」じたいがかなり面白い。以前に岩波文庫版が読みづらく諦めたのは勿体なかった。これはバルトの皮肉な突っ込みで楽しく読めてしまうのかも。 美食家が19世紀当時流行りのタイトル「~の生理学」を冠し大上段に構え、博識をひけらかし、饒舌にかつ大真面目に繰り出す独自のトンデモ学説の数々。感覚に侵食してこようとする語りに魅了され、贅沢な社交を味わった気分。ボードレールのブチギレ見解も付録にありさらに失笑。訳者、編者の力で素晴らしい仕上がりとなった一冊。2020/07/06
あかふく
1
ロラン・バルトによるプリヤ=サヴァラン『味覚の生理学』(『美味礼讃』の方が有名なタイトルですが)の分析。食べる行為を語りながら、ブリヤ=サヴァランは言葉を欲していたのではないだろうか。「食べものは単なる偏愛の対象ではなかった。むしろ言述の普遍的操作子とでもいうべきものだったのである」(p.46)。『味覚の生理学』の抄訳(新訳)および、ボードレールの「ワインと大麻について」(『人工楽園』)も併録。2012/10/27
の
1
フランス革命期を生きた司法官が記した美味学の哲学と、それをめぐるエッセー。アフォリスム哲学書としては、その人が普段食べているものや好物から、その人の趣味嗜好や生活レベルを推測したりと、その人の人となりを表すものとして。そして勿論、フランスの一流レストランから田舎料理までを幅広く分析する料理の話も。こうした「味」は生物独自のもので、味の追求が生命の生きる動機にすらなりうる。同じ国ならほぼ平等の食事ができるようになった現代では、そうした追及の意味はほぼ無くなっているが、それでも趣味として存在しているのだから。2011/07/29
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