内容説明
著者にとって「哲学」と「生きること」は同義であった。古代ギリシア世界を終始一貫みつめつづけた著者は、そこにみられる人間の驕慢を現代に確認しながら、「問いと答えの連鎖からなる長い論理的なことば、つまり対話」をとおして人間の有限性の自覚を要求したソクラテス的生を、みずからに課した。本書は、著者の生前、41年間にわたり発表されたものを遺文として集めたものである。第1巻はエンペドクレス、ニーチェ論など31篇、いずれも豊かな学殖と鋭い洞察に裏うちされた名品である。
目次
『反復』前後のケルケゴール―「単独者」の概念誕生の一挿話
ニーチェとクラッスィッシェ・フィロロギー
エンペドクレス―「自然」と「浄め」
プラトンとデルフォイ―『ファイドン』解釈の一試み
ディオゲネス―非現代的な典型
バートランド・ラッセルのこと
アリストテレスのエレウテリオテース
ショペンハウエルの遺言状
ソフィアー・カイ・ゲラスィーノス
モアの『ユートピア』
アカデーメィアの創始者―ソクラテスとプラトン〔ほか〕