出版社内容情報
いままでの公共事業は公共施設等(ハコ)を整備することを目的としていた。本書では、いままでの公共事業とは異なり、民間主体のもつ創意工夫、ノウハウ・技術等、専門的人材、新技術等を活かしつつ、整備した公共施設等を用いて市民ニーズを踏まえた質の高いサービスを提供し、地域課題の解決や地域価値の創出につなげる事業を「運営重視型PPP」と位置付け、その基本事項と豊富な実例をもとに、実績やこれからの活用について考察している。
PFI法が施行されて四半世紀を超え、地方自治法の改正により指定管理者制度が導入されてからも20年以上が経過した。この間、それまで行政が独占していた公共施設等の整備・管理運営や公共サービスの提供等において民間主体との連携を図るPPPの活用は着実に広がりをみせている。しかし、PFI導入の経緯等もあり、公共施設等(ハコ)を整備することが優先され、整備した後はそれを維持管理することが中心となっている事業も少なくない。
「公共施設等(ハコ)は整備(と維持管理)さえすればいいものなのか」
と問われて、それを是とする方はいないだろう。整備した公共施設等の耐用年数は数十年にのぼる。その間、このハコを用いて、市民のニーズに沿ったサービス等を提供していくことこそ重要なのではないのか。すなわち、公共施設等は整備された後が本番であり、その「運営」を最も重視すべきこととして、これからの公共事業を浮かび上がらせる。
【目次】
第 1 部 PPP と運営重視型PPP
第 1 章 PPP の概要
1.PPP の意義・位置付け
2.PPP の類型
3.公共サービス型PPP における事業形態
4.公有資産活用型PPP の位置付けと事業形態
第 2 章 運営重視型PPP に至る背景
1.PPP 活用の推移と運営面の位置付け
2.運営重視型PPP の必要性
第 3 章 運営重視型PPP の意義と活用手法
1.運営重視型PPP の意義
2.運営重視型PPP における主な手法・制度等
3.運営事業者先決め方式
4.コンセッション(公共施設等運営権)
5.成果連動方式(PFS /アベイラビリティ・ペイメント)
6.LABV (Local Asset Backed Vehicle)
第 2 部 運営重視型PPP の活用(事例研究)
第 4 章 事例をみる視点
第 5 章 運営事業者先決め方式活用事例
1.箕面市立多文化交流センター及び
箕面市立小野原多世代地域交流センター(大阪府箕面市)
2.道の駅(和歌山県海南市)
3.敦賀市知育・啓発施設(福井県敦賀市)
4.箕面船場阪大前駅前地区まちづくり拠点(大阪府箕面市)
第 6 章 コンセッション活用事例
1.大阪中之島美術館(独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市))
2.旧苅田家付属町家群活用宿泊施設(岡山県津山市)
3.米原市観光・レクリエーション関連2 施設(滋賀県米原市)
第 7 章 成果連動方式(PFS)活用事例
1.健康ポイント事業(岡山県岡山市)
2.介護予防事業「あ・し・たプロジェクト」(大阪府堺市)
3.前橋市アーバンデザイン推進業務(群馬県前橋市)
第 8 章 LABV 活用事例
【参考】山陽小野田市LABV プロジェクト(山口県山陽小野田市)
第 9 章 運営重視型PPP 活用による効果と課題
―運営重視型PPP の効果的な活用に向けて―
1.運営重視型PPP 活用による効果の総括
2.運営重視型PPP 活用による効果を高めるために求められる課題
内容説明
活用が広がりつつあるPFI/PPPでは、これまで公共施設等(ハコ)を整備することを優先する事業が多かった。本書では、民間主体のもつ創意工夫、ノウハウ・技術等、専門的人材、新技術等を活かしつつ、整備した公共施設等を用いて市民ニーズを踏まえた質の高いサービスを提供し、地域課題の解決や地域価値の創出につなげる事業を「運営重視型PPP」と位置付け、その基本事項と豊富な実例を説明し、これからの活用について考察している。
目次
第1部 PPPと運営重視型PPP(PPPの概要;運営重視型PPPに至る背景;運営重視型PPPの意義と活用手法)
第2部 運営重視型PPPの活用(事例研究)(事例をみる視点;運営事業者先決め方式活用事例;コンセッション活用事例;成果連動方式(PFS)活用事例
LABV活用事例
連営重視型PPP活用による効果と課題―連営重視型PPPの効果的な活用に向けて)
著者等紹介
佐野修久[サノノブヒサ]
大阪公立大学大学院都市経営研究科教授。北海道大学法学部卒、東洋大学大学院経済学研究科修士課程修了(修士(経済学))。1985年北海道東北開発公庫(現(株)日本政策投資銀行)入庫。北海道支店、地域企画部、富山事務所等で勤務後、2009年香川大学大学院地域マネジメント研究科教授、2012年釧路公立大学地域経済研究センター長・教授を経て、2018年より大阪市立大学大学院都市経営研究科教授。大阪市立大学の大阪公立大学への移行に伴い2022年4月より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。



