出版社内容情報
日本の水道普及率は95%を超え、これは世界的に見ても高く、加えて安全性の高さも評価されている。私たちが安全な水を安定して利用できる背景には上下水道設備「水インフラ」の整備があげられる。
本書は我々の生活を支える水インフラを解説した中項目事典である。上下水道の歴史、定義、仕組み、現在問題になっている上下水道管の老朽化・耐震化の課題、世界の水インフラの現状、日本の水ビジネスを取り上げており、水インフラ・水環境・公共事業への理解を深めることができる内容になっている。
【目次】
目 次
第I部 上下水道の歴史
第1章 上下水道の起源
メソポタミア文明における水インフラ/インダス文明における水インフラ/ペルシアのカナート/古代ローマの水道と下水道/階段井戸
第2章 ヨーロッパにおける上下水道
パリの下水道/ヨーロッパにおける水道水質管理の幕開け/近代的下水道の建設/微生物を用いた下水処理のはじまり
第3章 日本における上下水道――江戸時代まで
環濠集落と排水システム/水田と井戸のある暮らし/まいまいず井戸/太閤下水/神田上水と玉川上水/江戸のし尿循環システム/雨落下水と割下水
第4章 日本における上下水道――明治時代から戦前まで
横浜水道/横浜下水,神田下水/東京ニ衛生工事ヲ興ス建議書/3府5港の水道/水道条例/琵琶湖疏水/近代水道の普及と塩素消毒/日本最初の近代的下水処理場
第5章 日本における上下水道――戦後復興期以降
水道法と下水道法/小河内ダム/河川の暗渠化と下水道整備/高度経済成長期の水道/水質保全のための下水道整備/コラム:ヘンリー.スペンサー.パーマー/コラム:随所に日本初――京都を支え続ける琵琶湖疏水
第II部 上水道
第1章 上水道のあらまし
上水道に関する法律/水道事業の種類/水道施設の仕組み/水道施設の規模/上水道とDX(デジタルトランスフォーメーション)/水道施設の耐震化や津波対策
第2章 水道の施設(水源から浄水場・配水池)
水源の種類と取水施設,導水施設/ダム/水源の水質悪化への対応/渇水/浄水場の仕組み/急速ろ過・緩速ろ過システム/浄水処理で発生する汚泥処理/配水池の仕組み
第3章 水道の施設(水道管)
水道管の種類/水道管の腐食と対策/送配水管の計画・管理/水道管工事/水管橋・橋梁添架管/共同溝内の配管/バルブなどの付属設備/水道管の維持管理/水道管の漏水
第4章 水道の施設(給水装置)
給水装置/建築物への給水方法/給水装置の工事/水道メーター/給水装置の維持管理
第5章 水道の設備機器
電気機械設備/薬品注入設備/監視制御システム/水量・水圧・水質を計測する機器
第6章 水道水の水質
水質基準/おいしい水/残留塩素/赤水・黒水への対応/異臭味と対策/水道水の安全性/コラム:これからの上水道
第III部 下水道
第1章 下水道システムの概要
下水道の役割と実施主体/下水道の所管省庁の変遷/下水道システムの構成/排水設備/財源構成/下水処理の目標水質と環境保全/下水道と合併浄化槽の役割分担/合流式と分流式
第2章 下水道管の仕組みと保全
下水道管の種類/ポンプ場の役割と種類/マンホールの役割と仕組み/下水道管の計画と設計/下水道管の埋設技術/道路陥没/腐食と硫化水素/下水道管の調査技術/下水道管の