出版社内容情報
近年、新しい分析需要は高まっているにもかかわらず、大学ではオーソドックスな分析化学教室が減少している.また、研究所では計測領域は本流の研究開発ではないと過小評価され、企業では品質管理部という副次的な認識が主流となり、「試料中の元素や物質を正しくはかる」という分析化学の基礎および技術力の低下が懸念されている.
本書は、化学分析の基本的な流れである、「どの器具を適切に使用して」「どのような操作を行って」「測定の後にどのようにデータを整理するのか(不確かさ解析)」についてわかりやすく解説する.特に、器具や手技・操作の特徴を図で表現することで視覚的にも理解しやすく、他書との差別化をはかり、学生にも新人研究者や実務者にも役立つガイドブックをめざす.
内容説明
化学分析に必要な‘はかる’感覚と基礎知識を身につけるための書。器具選び:器具はリアルなイラストを用いて現物と対応できるようにし、その用途と選び方を解説。試料処理:粉砕・乾燥といった試料のはかり取りに関わる単位操作から、加熱・溶解・ろ過など、主として無機分析の試料処理に関わるものまで順を追ってイラストとともに列挙。データ整理:測定後に信頼性を考慮しながらデータを整理して分析値を提示するまでの最低限の段取りを伝授。
目次
1章 分析化学で使う器具(基本的器具;測容器;分離用器具;試薬;その他の器具;実験用ガス;実験するための環境)
2章 分析化学における単位操作(基本操作)(試料をはかり取るまで;試料を測定溶液にするまで;前処理操作手順の例)
3章 分析値の信頼性確保(有効数字;検出限界と定量下限;信頼性用語とその概念;不確かさと濃度;検定)
著者等紹介
上本道久[ウエモトミチヒサ]
明星大学理工学部総合理工学科化学・生命科学コース、大学院理工学研究科教授。京都市生まれ。1980年東京農工大学農学部環境保護学科卒業。1982年同大学院農学研究科環境保護学専攻修士課程修了。1985年学習院大学大学院自然科学研究科化学専攻博士後期課程修了、理学博士。理化学研究所、学習院大学理学部を経て1987年~2017年地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター。2017年より現職。専門、原子スペクトル分析・原子質量分析を主とする材料分析の高精確化、分析値の信頼性評価、分析法のJIS・ISO規格としての標準化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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