出版社内容情報
逆転正義
内容説明
教室である日突然始まったいじめ。「僕は見て見ぬふりなんかできない!」。職員室へ密告に行くが、先生は何故か見て見ぬふり。たまらず先輩に相談すると、加害者たちを実名で晒し始めあっという間に大炎上。「自分は正しいことをした」と思っていたが―。日常で暴走する“正義”を題材に、常識がひっくり返る全篇大どんでん返しミステリ短編集!
著者等紹介
下村敦史[シモムラアツシ]
1981年京都府生まれ。2014年『闇に香る嘘』で江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー。24年『同姓同名』がビブリオバトル三冠を達成し話題に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
mochiomochi
53
『正義』が何かしらテーマに入っている短編集、全6編。下村さんらしく、古い作品から最近の書き下ろしまで、尖っていて技巧の効いた作品群だった。どの作品もどんでん返しがあり、「そう来たか!」と唸らされること数回。『保護』はサイコホラー味がありながら下村さんらしさがあって個人的には一番面白かった。『完黙』も作り込まれてる感は否めないがテクニックに富んでいた。『ストーカー』は途中からなんとなく展開は読めたけどゲンナリ。こういうグロは苦手。姉妹作(?)の暴走正義も読みたい。2025/12/10
坂城 弥生
39
『保護』が一番ビックリしたかな。2025/05/30
10$の恋
32
『正義』に就いての考察が深く、いろんな方向からの思感を認識し読み入った。簡潔に言えば「SNS拡散(いじめ)」「未成年不同意性交」「復讐」「ストーカー」「恨み」「死刑囚の胸中」の6編なのだが、何が本当の正義なのかと唸らされた。アッと言わせる予想外の展開ばかりで、どれも読み応えが濃厚で心が軋む。真相の隠匿、社会通念の欠如、SNSなどによる魔女狩り的な中傷誹謗、過度のコンプライアンスやハラスメントの蔓延…、人間の利他愛や深慮が崩れ去る現代、本来の良心的な人間らしさって一体どこへ行ってしまうのだろう。2025/12/11
mayu
32
お久しぶりの下村さん。見てる角度が変わると真実もくるりと逆転する6編の短編集。全編どんでん返しと帯で煽られてるけど、それでも予想外の展開が待っている。面白かったし、長編を読む気力が無いときでもサクッと読める。気づくと反転している物語は読みやすくて、あっという間に読み終えた。できれば何も考えずに読んでほしい。自分が正しいと思い込む事は時に悲劇に繋がる事がある。一番好きだったのは「死は朝、羽ばたく」最後の話ということもあり余韻が残った。2025/06/07
Walhalla
30
全6話の短編集でしたが、どれもなかなかのインパクトがあります。序盤、2話目の『保護』には完全にコロッと騙されました。先入観って怖ろしいです・・。そうなってくると、以降の話はどんなひっくり返り方をするのか予想しながら楽しめますよね。一部、やや無理のある物語もあるにはありましたが、5話目の『罪の相続』と、6話目の『死は朝、はばたく』は、重苦しい内容の中にも人間の良さのようなものもあり、定義するのが難しい「正義」の正体の一部が垣間見えたような気がしました。(Audible)2025/11/04
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- 和書
- 労働六法 〈2010〉




