出版社内容情報
合理性は近代社会において非常に重要視されてきた。それは科学的探究や社会設計、ビジネスといった特定の場面で重視されるだけでなく、自律した個人として合理的に意思決定していくことは、近代社会を生きる人間一般の理想像とすらいえる。しかし、近年実証的にも示されてきているように、さまざまな制約を抱えた現実の人間にとって、合理的な思考や行動を徹底することは難しい。また、そもそも合理性を理想としてよいのか、疑問視する立場も根強くある。合理性はどのような場合に、どういう形で実現するのが望ましいのか。果たして合理性に頼っていれば私たちは幸福になれるのだろうか。
【目次】
第1章 ハックルベリー・フィンと合理性の問題/吉川 孝
第2章 長期的合理性とその限界/吉良貴之
第3章 医療ケアの意思決定における自律を問い直す/日笠晴香
第4章 科学的合理性と道徳哲学/長田 怜



