出版社内容情報
オジギソウやムジナモが昆虫などの接触を感じてかなりの速度で運動することは当時からよく知られていた。Haberlandt はそこに生理的解剖学を導入した.
本書では、植物のどこで昆虫の接触や植物自身が動くことにより支持物体に接触したことを受容するのか,また,そのような機械刺激が受容される仕組みを,単に植物を観察するだけでなく,針や毛を使って感受細胞を探し,顕微鏡切片を作って解明しようとしている.さまざまな植物の運動器官に加え,カメムシやヒザラガイなど動物の接触刺激の感受器官との対比や系統発生から見た感受器官の進化など,非常に広範な内容を含んでいる.
2021 年ノーベル医学・生理学賞は「感覚センサー分子の発見」をしたArdem Patapoutian とDavid Julius の両氏に送られた.まさにHaberlandt が100 年以上前に想定した機械刺激の受容体が姿を現そうとしている.
内容説明
ドイツを代表する植物生理学者であるGottlieb Haberlandtが1906年に著した“Sinnesorgane im Pflanzenreich zur Perzeption mechanischer Reize,2te Aufl.”の完訳。植物はどこで、昆虫との接触や植物自身が動いたことによる支持物体との接触を受容するのか。また、そのような機械刺激が受容される仕組みを、単に植物を観察するだけでなく、針や毛を使って感受細胞を探し、顕微鏡切片を作って解明しようとしている。さまざまな植物の運動器官に加え、カメムシやヒザラガイなど動物の接触刺激の感受器官との対比や系統発生から見た感受器官の進化など、非常に広範な内容を含んでいる。
目次
第1章 序(課題;歴史;概念規定と用語について ほか)
第2章 特定研究(おしべ;柱頭、花柱、ずい柱;花被 ほか)
第3章 まとめと結論(構造タイプ一覧;機械刺激の特徴;構造原理総論 ほか)
著者等紹介
Haberlandt,Gottlieb[HABERLANDT,GOTTLIEB] [Haberlandt,Gottlieb]
1854~1945。著名なオーストリアの植物学者であり、生理的植物解剖学の始祖ともいわれる。植物の組織培養の可能性を世界で初めて指摘し、1902年に植物細胞の全能性(totipotency)を発表した。植物解剖学を究め、20世紀初頭の植物生理学の発達に大きな貢献をはたした。1904年にはトウモロコシなどのもっている効率の高い光合成系であるC4光合成が葉の維管束を取り囲む特殊なクランツ(ドイツ語でリースを意味する)構造とよばれる組織で行われることを見つけている。1945年1月30日に90歳で亡くなった
片岡博尚[カタオカヒロナオ]
1947年2月滋賀県甲賀市(現)生まれ。1969年神戸大学理学部生物学科卒業。1975年大阪大学大学院理学研究科博士課程修了。理学博士(生理学)。日本学術振興会奨励研究員、東北大学農学研究所教務職員、助手などを経て1993年東北大学遺伝生態研究センター助教授。2010年東北大学大学院生命科学研究科准教授を定年退職。東北大学植物園協力研究員として現在に至る。1970年代から黄色植物フシナシミドロの先端成長や光屈性の研究を続けてきた。2007年には共同研究者たちと黄色植物(Ochrophyta=Heterokontophyta)特有の青色光受容体オーレオクロムを世界で初めて発見した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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