出版社内容情報
アパルトヘイト研究に偏った南アフリカ史研究の中にイギリスの問題を定位し、イギリス帝国の植民地支配の歴史の理解に光を当てる。南アフリカの特異な人種構成からひもとくイギリス系人種のアイデンティティの模索。
南アフリカは、白人のイギリス系とアフリカーナー(オランダ系・ボーア人)、さらに黒人、カラード(ケープタウン周辺の先住民、混血の人々)、移民と人種構成の特異な国である。南アフリカでおこった人種差別政策の始まりにはに白人同士の対立があり、歴史の中でいかにイギリス系の白人国家意識が確立されてきたかを当時の文献を元に検証する。
アパルトヘイト研究に偏った南アフリカ史研究のなかにイギリスの問題を定位し、イギリス帝国の植民地支配の歴史の理解に光を当てる意欲作。
はじめに―ブリティッシュ・アイデンティティの定義
第1部 ミルナー・キンダーガルテンと南アフリカ連邦形成
19世紀末までのケープと南アフリカ
第1章 ミルナー・キンダーガルテンの南アフリカ経験
第2章 連邦結成と「和解」の創出
キンダーガルテンとイギリス帝国
第2部 歴史家たちの南アフリカ経験
20世紀の南アフリカとイギリス系の歴史家たち
第3章 E・A・ウォーカーと南アフリカのブリティッシュ・リベラリズム
第4章 W・M・マクミランの南アフリカ時代
C・W・デ・キーウィートとハンナ・アレント
第3部 イギリス系とカラード
1910年代までのカラード
第5章 1920、30年代までのカラード
第6章 初期の南アフリカ共産党とカラード
ネルソン・マンデラの道
おわりに
堀内 隆行[ホリウチタカユキ]
著・文・その他
内容説明
一九世紀末以降のイギリス本国とその植民地がおりなす「ブリティッシュ・ワールド」に関する歴史研究は、南アフリカ史研究においても重要な意味をもってきた。特異な人種構成をもつ南アフリカで、イギリス人はいかにそのアイデンティティを保とうとしたのか。筆者による丁寧な歴史分析は、現代の南アフリカの精神性、エスニシティを考える上で重要なものとなろう。
目次
序(パーラメント・スクエアの銅像;南アフリカにとってのイギリス)
第1部 ミルナー・キンダーガルテンと南アフリカ連邦結成(二〇世紀初頭までのケープと南アフリカ;キンダーガルテンの南アフリカ経験 ほか)
第2部 イギリス系歴史家たちの南アフリカ経験(二〇世紀前半の南アフリカ;エリック・ウォーカーと南アフリカのブリティッシュ・リベラリズム ほか)
第3部 イギリス系とカラード(一九一〇年代までのカラード;一九二〇、三〇年代のイギリス系とカラード ほか)
結論
著者等紹介
堀内隆行[ホリウチタカユキ]
1976年生まれ。博士(文学)、京都大学。日本学術振興会特別研究員、新潟大学人文社会・教育科学系准教授を経て、金沢大学人間社会研究域歴史言語文化学系准教授。専門は西洋史(南アフリカ史、イギリス帝国史)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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