出版社内容情報
ガリレオとダーウィンに対する理解の変遷、科学的知識に関する哲学的議論、近代科学の宗教的・道徳的な含意をめぐる問題を詳説。
内容説明
「科学と宗教」関係の議論の定番のテーマは、とくにガリレオ・ガリレイとチャールズ・ダーウィンに対する理解の変遷、奇跡や自然の法則や科学的知識に関する哲学的議論、量子力学から神経科学までの近代科学の有する宗教的・道徳的な含意をめぐる議論であり、この分野を論じる者はしばしば熱く論争的になる。本書では、そうした信念の起源と機能を明らかにする。
目次
1 科学と宗教の論争―何が問題なのか?
2 ガリレオと科学の哲学
3 神は自然に働きかけるか?
4 ダーウィンと進化
5 「創造論」と「インテリジェント・デザイン」
6 精神と道徳
著者等紹介
ディクソン,トマス[ディクソン,トマス] [Dixon,Thomas]
ロンドン大学(クイーン・メアリー)歴史学上級講師。「科学と宗教」分野の国際学会International Society for Science and Religion会員
中村圭志[ナカムラケイシ]
東京大学大学院人文科学研究科(宗教学宗教史学)博士課程単位取得満期退学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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白義
22
ガリレオの宗教裁判や進化論をめぐるスコープス裁判など「科学と宗教の対立」と言われる事件は数多く、これらの衝突はこの二つの領域の間の和解しがたい断絶を意味するものである、と通俗的には思われている。著者はそれに異を唱え、一見科学と宗教の対立に見える一つの出来事の背景に、政治的保守主義と自由主義の対立、あるいは当時のパラダイムの下での聖書解釈の対立など、多用な文脈があることを指摘し、それを丁寧に解きほぐし「科学VS宗教」というあまりに粗野な対立図式を解体していく。科学と宗教というテーマの熱を良く冷ます良入門書2015/09/21
akihiko810/アカウント移行中
21
科学は宗教とどう対立し、関係してきたか。とガリレオ裁判の項だけ読む。印象度B 今月の読書会のテーマは科学。『チ。-地球の運動について-』という地動説を巡る漫画(完全なフィクション)を読んで、史実の地動説と宗教の対立がどうだったのかを調べるために読んだ。 ガリレオが裁かれたのは、あくまで「地動説を流布してはならない」という禁令が出てたのに、「天文対話」を出版し、禁令を破ったという点への罰であり、研究したことそのものや、聖書の解釈に踏み込んだ罰ではない、ということだった2022/08/16
ソーシャ
7
宗教学の研究分野の一つ、「科学と宗教」の論点についてコンパクトに解説したVery Short Introductionシリーズの一冊。ガリレオ裁判や進化論をめぐる英米の論争、科学的宗教研究について、対立構図の裏にあった政治・社会的な事情や宗教家たちの議論が紹介されています。最終節の「科学もまた宗教と同様に取扱いに注意が必要なものなのだ」という論証に、少し感銘を受けてしまいました。(道徳についての問題意識が著者と似ているからかもしれません)少し文章が読みにくいですが、おすすめです。2016/12/07
チョケラッパ
7
【NA】綺麗な装丁とフォント、関心事ドンピシャのタイトルに惹かれ手にしたが、内容は消化不良に終わった。 消化不良の主たる要因は私自身の知識不足であるが、直訳気味の翻訳がそれに拍車を掛けたと思う。 宗教と科学というタイトルであるが”主にキリスト教を中心とした宗教と科学の対立の歴史”を一学問として取り扱っている。 アメリカにおける法律的観点からの進化論の扱いや教育の現状にも触れられており興味深いが、消化不良。。。本書の内容をいつか消化できるレベルになりたい。2016/04/14
Amano Ryota
7
『科学と宗教の対立』というのは、科学的事実と宗教的信仰の対立と言うわけではなく、むしろそれ以外の社会的な要因が原因となっていて、そこを見過ごすと問題の本質を見誤る、ということに気づかされる良書。ガリレオからダーウィン、インテリジェントデザインと創造論、果ては心と倫理まで、どの事例でも科学側・宗教側、真実がどちらにあるのかよりも、それを告げる人達の利益(とか信念とか道徳とか)が問題となっているのが分かる。異なる事実が対立しているのではなく、それを巡る解釈が争点となっていると言うのは、目から鱗ですね。2014/05/29
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