出版社内容情報
霊長類を調べるということは「人間とは何か」という命題に迫ることでもある。様々な分野からのアプローチによる正確かつ最新の知見。
内容説明
「人間とは何か」を考える。そのとき、霊長類学の成果に触れることを勧めたい。あまり一般に意識されないが、先進諸国のなかで野生のサルがすむ国は日本だけだ。アメリカザルとかフランスザルというのは存在しない。そうした文化や自然の背景があって、日本人はサルについてよく知っている。深い興味を寄せてきた。それが追い風となって、霊長類学は、日本が世界の一線に立って発信し続けてきた稀有な学問である。
目次
コンピューターの目で読み解くサルの進化
サルの歩行からヒトの直立二足歩行の起源と進化を探る
ボノボ―メスたちの平和力
霊長類とほかの生物の関係―種子散布に着目して
霊長類のコミュニケーションとその進化
霊長類の心の進化―比較認知発達の視点から
社会行動の神経機序の生物学的理解へ―コモンマーモセットと社会行動の脳科学
霊長類脳の構造発達と機能分化
糖鎖からみた霊長類の多様性と進化
分子マーカーを使った霊長類の研究
ポストゲノム霊長類学
飼育下の非ヒト霊長類の健康管理
実験用霊長類の健康管理―感染症とその安全対策
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
山本
2
京大霊長類研究所の教員13人が、それぞれの研究を簡単に紹介したもの。『京大人気講義シリーズ』という名のとおり、大学の一般教養科目で教えられるような内容。霊長類学ではどんな研究が行われているのかがわかる一冊。2017/08/04
しゅう(callette)
2
霊長類に関する、分野の異なる13の研究について書かれた本。章ごとに内容が違いすぎるため、知識を得ようとして真っ向勝負を挑むのはつらいのだけれど、「こんなアプローチのしかたがあるんだ」と面白がりながら流し読みするのにはお勧めできる本。書かれているのは最先端のことだし。 一番面白かったのはシアル酸の話。至近的な視点から進化のストーリーが描けるのって面白いと思う。2014/03/22
kozawa
0
京大霊長類研究所2012年。人間を知る一つのヒントとしての霊長類研究。ども章も面白く読ませていただきまして。二足歩行の起源論なり、ボノボは雌主導社会故にチンパンジーより争いが少ない、霊長類のコミュニケーション、発達、飼育、進化etc。本論がどう応用出来るか的な各章のまとめがちょっとビッグマウスすぎるのが混じってる気がするけど…。例えば、チンパンジー社会とボノボ社会で子育てな女性主導が平和を的な話題で、まぁそういう構造が成り立つことがあり得ることを認めるのはやぶさかではないけれど、それが簡単に人間社会に応用2012/07/12
クロスリバーゴリラ
0
霊長類学で注目されているトピックが何なのかが分かる一冊。個人的な感想として、今や分子生物学の知識は霊長類学においても当たり前に必要なものとなっていて分子生物学への耐性をもう少しつけねばなと己の無知を知る機会となりました。2022/01/01
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