内容説明
一九世紀半ば、アメリカ・ボストンの名家に生まれたローエルは、火星の研究と地球外文明論の唱道、冥王星の予知発見など、天文の世界に数々のエピソードを残している。その一方で、彼が未知なる東洋にあこがれ、明治期の日本に来訪、日本研究に情熱をもやし、ラフカディオ・ハーンにも影響を与えたことはあまり知られていない。極東の地のさらなる辺境を求めて、やがて彼は能登へと旅立つ…。とどまることなく未知なるものへの探究心をもやし続けたローエル―その好寄心と行動力にみちた生涯に迫る。
目次
1 生いたち
2 日本へ
3 朝鮮国外交使節団
4 極東の魂
5 森有礼の暗殺
6 コーリアン・クーデター
7 能登―人に知られぬ日本の辺境〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Honey
8
非常に価値あるパーシヴァル・ローエルの伝記。 彼の才能および人物としての魅力を、感動を持って味わいながら、かつ明治20年代の日本の様子を垣間見ることができる素晴らしい1冊。(ローエルの撮影した写真も多数掲載。) 真摯な科学者ローエルの鋭い感性で見た日本の精神性…今、改めて頷ける。 ローエルの著書に影響を受けた小泉八雲のエピソードも面白い。 また、あとがきでは本編完成までの経緯と、著者のローエルとの関わりの詳細ともなっており、すっかり埋もれていたローエルの撮影した日本の写真発掘(?)の話なども興味深かった。2019/01/26