内容説明
人口約1500万人、国土は九州より少し大きい程度の国オランダ。このヨーロッパの小国で、1920年~30年代という20年間に驚くほど多くの質の高い建築が実現した。そこには「モダニズム」という枠にはおさまらない多様な思想、スタイルが併存しており、近代建築=モダニズムという単純な図式は成立していなかったのである。本書では、ヘンドリック・ペトラス・ベルラーヘから、アルド・ファン・アイクに至る近代オランダの様々なスタイル、建築家、作品を紹介する。
目次
1 多様の統一―近代建築の原点(H・P・ベルラーヘ―アムステルダム株式取引所)
2 図像の力学―アムステルダム派(ミケル・デ・クラーク―エイヘンハールト集合住宅)
3 概念の造形―デ・ステイル(G・Th・リートフェルト―シュレーダー邸)
4 架構の理念―デ・アフト(ヨハネス・ダウカー―オープンエアースクール)
5 透明な機構―オップバウ(L・ファン・デル・フルーフト―ファン・ネレ工場)
6 支流の存在―周縁の運動(W・M・デュドック―ヒルヴァーサム市庁舎)
7 迷宮の構造―フォーラムグループ(アルド・ファン・アイク―アムステルダムの孤児院)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
276
オランダ近代建築の黎明期に建てられたと思われるアムステルダム株式取引所(ベルラーヘ設計)や、モンドリアン風の意匠を持つシュレーダー邸(リートフェルト設計)などはわからなくはない。しかし、現代の建築になると、その特徴を指摘するのが難しい。専門家なら、なるほどこのあたりの設計はいかにもオランダらしいなどと思えるのかもしれないが、我々素人には全くといってもいいくらいにそれがわからない。いわば徹底した機能主義なのだが、それこそが歴史的に見て、まさにオランダなのだということなのだろう。2023/08/25
ウメ
5
オランダの近代建築のあらまし。商業主義から機能主義への移行。昔はさほど目を引く建築は少ない。現代のダッチデザインは歴史に名を残せるか。コールハースはまた別格だが、個人的にはMVRDVの建築に注目。2018/05/18