内容説明
20世紀を代表する建築家の一人ルイス・カーン。その生涯の大半を過ごしたフィラデルフィアの町への考察から始まって、“カーン誕生”の画期となった「イエール大学アート・ギャラリー」、サーブド・スペース サーバント・スペースの考え方が結実した「ソーク生物学研究所」、アルカイックな建築からの離脱を試み、現代的な透明性を実現させた「キンベル美術館」など、彼の遺した建築作品を巡る中から、一般には難解とされるその建築思想の骨格をわかりやすく解き明かす。また、巻末には、それぞれの作品の所在地、連絡先、見学方法などのリストを掲載し、ガイド・ブックとしても活用できるようになっている。
目次
構築の始まり 静かな革命―イエール大学アート・ギャラリー 1951~53
変わるものと変わらないもの―フィラデルフィアの交通スタディ 1953
カーンの哲学の「原型」の現れ―ユダヤ・コミュニティ・センター、バスハウス 1954~59
「構法の秩序」の構築―ペンシルベニア大学リチャーズ医学研究棟 1957~60
「光と影」の発見と「窓」の主題化―マーガレット・エシェリック邸 1959~61〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
251
この巻はフィラデルフィアの生んだ建築家ルイス・カーン。彼の建築の理想は透明性にあるそうだ。彼はまた、他の建築家たちをそれぞれ音楽家に例えているが、自らはバッハの持つ「すっきりとした現代性」の実現を目指していた。幸いにも数多く残されたカーンの建築物の中では、イエール大学芸術学部棟、ペンシルベニア大学リチャーズ医学研究棟、ソーク生物学研究所等の学術関係の建築物がひときわ目を引く。アカデミックなものとの親和性が強いのだろう。他にはフォートウェイン舞台芸術劇場や教会建築も魅力的だ。2023/10/27
MR直毛
2
彼の構築の意志は建築史に自らを載せていこうという姿勢でもあり、建築史の中に位置付けていくことが可能だろう。なので彼の建築は現代に最も通ずる王道の教材であり、ローマやルネサンス期の建築までを自分の土俵に上げてくれた。2016/04/14
Tatsuo Mizouchi
1
☆☆☆ ルイス・カーン 通りは部屋になりたがっている。この本とは全然関係ないけどアレントのいう公共性のイメージがわかったような気がする。2017/07/18
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- 和書
- 新型精神分析