内容説明
今日、アトリウムと呼ばれるガラスに覆われた吹抜け空間が急増しているが、それは近年忽然と生み出されたものではない。古代ローマの都市住宅を起源とし、近世、近代へと受け継がれ、現代に大きく開花したものである。そのような現代のアトリウムの多様な魅力を最も幅広く、かつ明瞭に味わうことができるのはアメリカである。本書はアメリカにおける、19世紀末の鋳鉄とガラスの大空間、20世紀を代表するライト、カーンの作品に見るアトリウム、そして様々なデザインが展開する今日のアトリウムなど、十数例を巡りながら、これからの都市と建築を探っていく。
目次
1 現代アトリウムの先駆
2 現代アトリウムの誕生
3 現代アトリウムの展開
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
279
ヨーロッパでアトリウムというとたちどころに思い浮かぶのがミラノのガレリアだ。パリのあちこちにあるファサードなども一種のアトリウムだろう。しかし、鉄とガラスといったいかにも19世紀的な新素材をふんだんに活かしたアトリウム建築はアメリカの独擅場である。最初に紹介されるのはクリーブランド・アーケード(1988-90年。J・アイゼマン、G・スミス設計)。行ったことはないが、写真で見ても圧倒的なまでのスケール。アメリカを大いに感じる空間である。20世紀のものでは、例えばハイアット・リージェンシーホテル・アトランタ⇒2023/06/28
原さん
8
ショッピングモールやホテルなどでよくあるガラスの天井=アトリウムであり、その種類はは、1古代ローマ時代の住宅の玄関近くの構造、2初期キリスト教会の前庭、3現代のアトリウムである。アトリウムを用いた建築はヨーロッパでもよく見られるが、アメリカの商業主義におけるアトリウムの再解釈を見るのは面白かったです。ヨーロッパは伝統命ですが、アメリカはすごい勢いでバンバンビルを建ててた時代があったので個人の解釈のレベルが色々あって良かった。あとライトな本で読むの楽でした。2020/08/23