内容説明
ローマの風景や空想的な建築をドラマティックに描いたことで知られるピラネージは、18世紀のイタリアを代表する世界的な芸術家であり、建築家であった。ピラネージの偉大な創造の精神は、新しい時代の幕開けに大きく寄与し、その作品の数々が後世に与えた影響は枚挙に暇がない。多くの未発表写真と図版で構成した本書は、時代を越えて語りかけるピラネージとその世界を紹介するピラネージ入門書である。
目次
ピラネージのピアッツァへ
ピアッツァのモニュメント
古代に魅せられたアルキテット
ピラネージのおいたち
ヴェネツィアの建築家修業
はじめてのローマ
近代建築に対する失望
生活のための風景画
紆余曲折の時節
フランス・アカデミーとの交流
モダン建築の実験場
『牢獄』という名の劇画
蘇る古代都市
古代都市の地勢図
考古学書とパトロネージ
建築家ピラネージの明暗
最初で最後の建築計画
ピラネージの晩年〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
296
建築家になれなかった幻の建築家ピラネージの生涯をたどる。彼が実際に建築に携わったのは、アヴェンティーノの丘のプリオラート聖堂の修復と、マルタ騎士団の広場の整備くらいであるらしい。聖堂のファサードの写真が掲載されているが、バロックに優美さを与えたような美しい設計である。また、ピラネージが残したたくさんの銅版画が紹介されているが、それらの多くは空想歴史画とでも呼ぶべきもの。これらが実に興味深い。ほんとうだろうかと目を疑う(見はる?)ものも。中でも驚いたのは古代のアッピア街道を描いたもの。⇒2023/07/03
ik
2
ピラネージの人生を概観できる。ピラネージは版画作品しか知らなかったので建築作品の貴重な画像が収録されているのがとても良かった。アヴェンティーノで何気なく覗いていた鍵穴や、あの広場がも彼の構想によるものだと知って非常に感慨深かった2013/06/15
AsK
2
18世紀イタリアのローマで活躍した建築家、版画家、考古学者ピラネージ入門書。建築家としてのピラネージに重点を置きながら、彼の生い立ち、経歴、作品について述べている。ピラネージはニコラ・ジョッベ、ボッターリ、ロバート・アダム、チャールモント伯爵、教皇ベネディクトゥス14世、クレメンス13世…様々な人々の支援を受け大成し、「黄金拍車の騎士爵」を得た。2012/02/08
Kazuyuki.Ta
1
ピラネージへの入門として。ピラネージの思想を追ってみたいと思わせてくれる本です。2012/05/22
ikepy6
0
所属研究室の教授が著者ということで読んでみました。2012/03/10