内容説明
今年は近藤効果が発見されてから25年目にあたります。日本が誇る世界的な発見である“近藤理論”とは、では一体どのようなものでしょうか。1930年代以来多くの物理学者を悩ませてきた、磁性合金における電気抵抗極小の問題を見事に解決するとともに、金属電子論の発展に多大の貢献をはたしてきた“近藤効果”について、その発見までの経過をたどりながらやさしく解説。また、その後の数々の展開にまで言及します。
目次
はじめに
稀薄合金研究の概観
金属中の伝導電子の振舞い、電場中の伝導電子、電気伝導度
局在スピンによる伝導電子の散乱
交換相互作用の起源
高次摂動による散乱マトリックス
散乱電子の位相変位
局在スピンの基底状態
ウィルソンの理論
ノジエールの局所的フェルミ液体理論
アンダーソン模型から見た近藤効果
近藤系の厳密解
近藤効果の周辺とその後の展開