内容説明
西欧文明の背景として憧れているギリシアやローマ文明発祥の源を、建築遺跡を通して見直す旅です。ギリシアからエーゲ海を溯り、東地中海を中心とするトルコ、シリアへと訪ねます。白大理石の柱頭や列柱の表情から、かつて紺碧の空の下に華開いたであろう広大な都市文明や神に姿をかりて描いた人間の生の躍動を一幕の風景として辿ることでしょう。
目次
古典文化のほとり
一緒に集う―ギリシヤ、ローマ劇場
二署をつなぐ―列柱街路、フォラム
参照したもの―柱と門
死所を飾る―墓
感想・レビュー
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ヴェネツィア
299
著者は熊本大学教授(当時)だが、同時に設計者としていくつかの作品を残している。本書は現代の地中海世界の建築ではなく、古代ギリシャ時代(+ローマ時代)の建築遺構に関する考察・紀行である。「劇場」、「フォーラム」、「墓所」を主な切り口にしているが、いにしえのギリシャ文化に対する憧憬に満ちた書きぶりである。劇場はエピダウロスをはじめとして、ボスラ、アスペンドス、ニッサなど数多くが今も残るが、ローマ時代においてもそうだが、ギリシャにおいて既にこれほどの劇場が必要とされたことに驚く。地方都市では現代よりも⇒ 2022/10/10