出版社内容情報
権力はどこで道を誤ったのか? 警察庁長官狙撃事件、大川原化工機冤罪事件。二つの事件に見る、公安警察の「失敗の本質」。
内容説明
900頁超の特命捜査班の捜査資料、“真犯人”の支援者による27年越しの告白、数々の捜査関係者の証言やメモ…徹底取材の一部始終を公開!「まあ、捏造ですね…」警察庁長官狙撃事件、大川原化工機事件にみる警察組織の“失敗の本質”―なぜストーリーありきの捜査は止まらなかったのか?第29回新聞労連ジャーナリズム大賞大賞受賞。
目次
序章 法廷で飛び出した爆弾発言
第1章 未解決事件の真相を追う
第2章 公安と特命捜査班
第3章 なぜ事件はつくられたのか
第4章 公安に狙い撃ちされた企業と人
第5章 次々浮上する捜査の問題点
第6章 正義のありか
付録
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
読特
42
信憑性の高い自供があるのに未解決で片づけた長官の狙撃事件。その病理は糺されることなく、大川原化工機事件の暴走へと続いた。当局でさえ欠陥ありと認める規制への違反。無理筋の立件も公判を維持できず。捜査員をして”捏造”とまで言わしめる。その迷走ぶりは、警視庁公安部という一組織に留まらず、日本の官僚システム全体の構造的欠陥を示唆する。…民への奉仕よりも自らの立身出世。無理を通してでも目立たねばならぬ宿命。どんな過ちでも認めてはいけない無謬性。…犠牲になった一つの命。その重さを感じることから始めねばならない。2025/06/28
kei302
39
報道に触れる度に、杜撰な公安捜査に呆れていたが、この本を読むと、警視庁と検察、さらに、裁判官までもが大きな過ちを犯していたことがわかる。亡くなった相嶋さんのご長男の、怒りを抑え、的確に問題の本質を突いた控訴審での発言が胸を打つ。28日の全面勝訴の判決を受けても、未だに何の謝罪もないことに呆れる。2025/05/30
チェアー
5
公安は謝らない。政治家と同じだ。彼らは間違える事は無いと自分たちで勝手に思い込んでいる。ただでさえ警察は自分たちの失敗を認めないのに、公安はそれに輪をかけて失敗を認めない。いまだに大川原加工機の対して謝罪一つしていない。これが公安なのだ。 2025/04/20
トト
3
警視庁公安部の組織的犯罪とも言える2つの事件を追った報道ノンフィクション。「警察庁長官狙撃事件」初動捜査の決めつけから始まり、途中気付きながらも方向転換出来ず、時効。真犯人と思われる人物を逮捕し自供も取れていたのに。「大川原化工機事件」外為法違反で起訴したもののすぐ取り消した冤罪事件。まさにでっち上げ。1人は長期の事情聴取の中、がんを患ったのに保釈が許されず死んでしまうという悲劇。 ことの顛末の一部始終を知ると、国家権力の恐ろしさを感じる。組織的な隠蔽、捏造は他の組織でも日常的に起きている。氷山の一角か。2025/04/02
チバ
2
新聞でチラリと見つつよく分かっていなかったので内容理解出来てよかった。この後の報道もちゃんと追いかけていきたい。末期癌の方に対してもこんな対応なのかと正直驚いた。事件は起こったものを解決するだけではなく作り上げていくものなのかと。ないものを作るのは民間企業の仕事で公務員には必要ないと思いますが。社員の方が健全に活き活きと働いていらっしゃる様子がうかがえる大川原化工機。池井戸作品に出てくる会社がこうしてホントに実在しているんだということも印象深かった。2025/06/29
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