出版社内容情報
転居、転職、家族との関係の紡ぎ直し。誰にも人生の転機とリスタートがある。人は大小の喪失を経験し、それでも生きてゆく。ふたたび歩み始めた人々の姿を、台所という〈生活の楽屋〉を通して描くノンフィクション。『それでも食べて生きてゆく』に続く「東京の台所」シリーズ最新刊。
内容説明
台所は語る。“生活の楽屋”から見える人生のよろこびと哀しみ。躓き、くじけながらも懸命に生きる人びとを描く感涙のノンフィクション!『&w』(朝日新聞デジタルマガジン)人気連載「東京の台所」書籍版。
目次
1 それでも暮らしは続く(ふたつの転機に咲く;夫婦は「気を使う」のではなく「気にかける」 ほか)
2 転居と人生(最後の夢を支える古い台所;“ふわん”の原風景 ほか)
3 社会とつながる(結婚と残業;教員の、台所に立てる日立てない日 ほか)
4 家族のかたち(主が留守の隙に;「卒婚っていい言葉だなと思う」 ほか)
著者等紹介
大平一枝[オオダイラカズエ]
1964年、長野県生まれ。編集プロダクションを経て1994年独立。市井の生活者を独自の目線で描くルポルタージュコラムおよびエッセイを執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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neimu
32
退職、再就職、母の入院、娘の就職と怒涛の年度末に落ち着いて読める内容ではなかった。あれこれ考えてしまい、落ち込むような内容も多々あったので、読むのは挫折。とても気分転換本で読み飛ばすことはできなかった。再度、時間があるときに心落ち着けてじっくり読んでみたいと思います。台所って、心身ともに疲れているとき、入り浸ることができなくなるんだよね…。もちろん買い物や料理する気力も失せるし。2025/04/09
きゅー
6
冒頭で、前作『それでも食べて生きてゆく東京の台所』で書かれた「何も失っていない人などいない」という言葉が繰り返される。台所=キッチンは家庭の中心であるという感覚からも超え、台所が生きることの縮図として象徴されている。名もなき人たちの喜びや哀しみ、ときによっては子どもや妻を喪うという悲嘆も包みこんで、その場所は在り続ける。自分の家の台所を見てほしいという望みは、胸襟を開き誰かと話がしたいという熱望の現れであることもある。本書で、私たちは誰かの台所を覗いているのではなく、誰かの人生を覗いている。2025/06/20
tama
4
ふたたび歩み始めた人々の姿を台所という「生活の楽屋」を通して描くノンフィクション。 台所は家の中で唯一何かを生み出す場。 暮らしと共にあった台所の記憶は生き続ける。 躓きくじけながらも前を向く人々の姿は尊い。 それぞれの人生にそっと寄り添う台所🥰 2025/04/02
チョビ
3
結論が筆者の中であるから、疲れている時にはあまり読みたくない。人の人生をお台所という、人格が出やすいところに例えてインタビューしている本なので。前に比べて読みづらくなっているのは、自分自身疲れているってことかと思う。2025/04/23
じみ
2
生きる事は食べる事。食べるための料理を作る場所が台所。 読み応えのあるエッセイでしたが、よそのお宅の台所の様子を期待していた私には台所の写真が少なくて不満もありました。 もっと、使い込まれていたり、使われていなかったりする他人の台所を見て、その人の生きて来た様子を想像してみたかったです。築年数が書かれていたのは読むうえで参考になりました。ピカピカの最新式ばかりが素敵なわけではないんだとしみじみ。2025/07/10