出版社内容情報
戦後新宿の闇市でいち早く頭角を現し、「街の商工大臣」とも「東京のアル・カポネ」とも称された男、尾津喜之助。上野アメ横やニュー新橋ビルの元となるマーケット成立にも深く関与した〈テキヤの総帥〉の破天荒な生涯を、新世代ライターが描ききる渾身のノンフィクション!
内容説明
この男、悪魔か英雄か?焦土の東京に君臨した伝説のテキヤ。“街の商工大臣”“東京のアル・カポネ”と呼ばれた尾津喜之助の破天荒な生涯をまったく新たな視点で描く圧巻のノンフィクション!
目次
序章
第一章 不良少年は親分に
第二章 闇市の誕生
第三章 殺人横丁、闇の女、マーケットの夜
第四章 市街戦、商工会議所設立―激動の一年
第五章 新宿の鬼と上野の虎
第六章 鬼熊の晩年を訪ね歩く
著者等紹介
フリート横田[フリートヨコタ]
昭和54年生まれ。文筆家。ノンフィクション作家。戦後から高度成長期の歓楽街のルポや、昭和の庶民生活にまつわるエッセイを雑誌や新聞、ウェブメディアに寄稿。また戦争証言を記すこともライフワークとしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Nao Funasoko
16
いやはやなんとも豪放磊落エキセントリックな人物であり人生であり。 そんな人物の終焉の地が我が地元だったとはと驚く。地元の郷土史研究会主催の講演会で知り興味深く読了。 組は世襲しないことで組織を維持するってハナシは目鱗だった。2025/06/25
はやたろう
13
よかった。新宿に生きた任侠者尾津喜之助の物語。テキヤでやくざ者で商才があり、政治力がある。こんな大物が少し前の昭和に生きていたことは知らなかった。戦前戦後のごたごたの中で、何かを作り出し、争い、争いを抑え、人の上に立って、金を生み出していく。また、弱者に寄り添い、人助けもする。そのうえ、目立つことも好きな人物。すごすぎる。2025/05/04
makoto018
11
ヤクザのルーツは博徒系とテキ屋系に二分されると知識があったが、後者のイメージはなかなか掴めなかった。寅さんや祭り露店が想起される程度。本書は、終戦後の新宿で闇市を仕切った親分・尾津喜之助を描いたノンフィクション。終戦から5日後、新宿駅前の焼け跡にできたマーケット。敗戦のショックと物不足て呆然とした人々が見たのは、食べ物や雑貨などが溢れる露店。その看板には「光は新宿より」。暴力と癒着により私利を満たしつつも、無料医療所の運営や傷痍軍人、戦災孤児への仕事斡旋など清濁併せ持つその人物像は圧巻で魅力的でもあった。2025/02/15
ビーグル犬大吉
3
尾津喜之助という人物から見た新宿の闇市、昭和裏面史を描いた渾身のルポタージュ。家庭の事情から学校に行けなかった尾津は徒手空拳から這い上がり、己の力だけを頼りにテキヤになる。明治、大正、昭和と膨大な資料と格闘したことが伺える秀作だった。皆、生きるのに必死だった戦後の混乱期、ヤクザが必要悪な時代だった。当時は反社が政商やフィクサーとして政界に進出してくるようなボーダーレスな時代だった。横田さんの本は何冊か読んだことがあったが、扱うテーマが面白いので、今後も昭和の庶民生活や歓楽街などを書き続けてもらいたい。2025/02/15
onepei
2
おもしろかった 著者の熱に文章が追いついていない気もする2025/02/23