内容説明
経済小説の巨人・清水一行(1931~2010)。その波乱の生涯と日本経済の興亡を、現役作家・黒木亮が徹底取材で再現。私たちの現在地を問う圧巻のノンフィクション!
目次
第1章 玉の井
第2章 ああ、インターナショナル
第3章 藤原経済研究所
第4章 小説兜町
第5章 流行作家
第6章 動脈列島
第7章 信濃追分
第8章 ベルリンの壁
第9章 土に還る
著者等紹介
黒木亮[クロキリョウ]
1957年、北海道生まれ。早稲田大学法学部卒、カイロ・アメリカン大学大学院修士(中東研究科)。都市銀行、証券会社、総合商社を経て、2000年、大型シンジケートローンを巡る攻防を描いた『トップ・レフト』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
192
黒木 亮は、新作中心に読んでいる作家です。本書は、"経済小説の巨人"清水一行のノンフィクション、高度経済成長期と共に生きた作家の生き様を見事に描いています。清水一行の全盛時代は、私の小中高時代に当たるので、残念ながら作品を全く読んでいません。何時か機会を見つけて読んでみたいと思います。 https://mainichibooks.com/books/social/80-2.html2023/01/05
ナミのママ
73
ベストセラー作家、清水一行氏(1931〜2010)の生涯と日本経済の流れ、著作をとりあげたノンフィクション。父の書棚には城山三郎氏、清水一行氏の作品が並んでいた。わからないところは聞きながら読んだのが経済小説にはまったきっかけ。清水氏の名前を見て懐かしく手にした本作。取り上げられている作品は覚えているものもあるが、ご本人のプライベートははじめて。共産党活動や病気療養、編集者や同業者とのおつきあい、人を大切にしつつ自分の書くペースは守っていた人だったようだ。もう過去の人というのが寂しい。2023/07/04
fwhd8325
62
お名前はよく知っていながら、作品はデビュー作「小説兜町」だけが印象に残っています。この作品をとても面白く読んだ私は、その後何冊か読んだ記憶がありますが、この作品を超えるものはなかったと思います。どこかアウトロー的な印象も敬遠してしまった理由にあるかもしれません。作家になるまで、同和問題や名誉毀損に関わるエピソードは面白い。2023/06/25
まつうら
57
社会の暗部を抉り出すダークな作風が持ち味の清水一行。同じ時期に活躍した城山三郎や梶山季之と異なる彼の作風は、どうやって培われたものなのか? 著者がこのあたりに踏み込んで論じていることを、とても興味深く感じる。藤原経済研究所で薫陶を受けたことが作風に影響していると思われるが、藤原と清水はどういう縁があったのか? この辺が明かされていないのは少し残念。それと、作家デビューした頃に出版社と駆け引きをするエピソードは、新人作家として謙虚でありながら、小説家のプライドを貫き通したいい話。カッコいいじゃん!2023/02/17
ばんだねいっぺい
26
普段、縁の乏しい界隈のハナシだったので非常にワクワクしながら読んだ。某出版社の態度に呆れたり、圧力団体の恐ろしさを垣間見たり。表現の自由ってなんだろう。2023/11/05