出版社内容情報
58歳の記者がある日突然ヒマラヤへ! 8000mの山を舞台に人生の下り坂に向かう人間の心の移ろいを綴る。毎日新聞の人気連載を書籍化。
目次
きっかけは唐突に
人生、計画的か衝動的か
部長との面談 意外な一言
一般男性がダウラギリ?
この際、「新しい鼻」を入手
ダウラギリは演歌の響き♪バカだなあ♪
まさに「バラ色の人生」ユーフォリア
「名門幼稚園の遠足」
雪崩のロシアンルーレット
恐怖は調節できるのか 危機の中ゆえの静謐〔ほか〕
著者等紹介
藤原章生[フジワラアキオ]
1961年、福島県いわき市生まれ、東京育ち。父は津山、母は岡山人。都立上野高校、北海道大学工学部卒業後、エンジニアを経て89年より毎日新聞記者として長野、南アフリカ、メキシコ、イタリア、福島、東京に駐在。戦場、人物ルポ、時代論を得意とする。「絵はがきにされた少年」で2005年、開高健ノンフィクション賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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kanki
17
登山は哲学。死に近づく。6000m越えたら、居続けるだけで死ぬ。1時間に80mしか登れない。寝るためだけに酸素を吸う。2022/02/26
yoneyama
13
毎日新聞夕刊で特集ワイド面記事を書く、海外取材の長い58歳記者の、プライベートなダウラギリ遠征記。著者は私の北大山岳部の尊敬する先輩です。なぜこの年になって八千m峰を目指すのか。著者の幼年期の体験、青年期の山、海外支局取材時のさまざまな話を交え、話はどんどん死や時間、恐怖と勇気、なぜ山に登るのかというテーマに至る。昔から相当な読書量だったうえ、著名人のインタビュー経験も豊富であり、ジミー・チン、メスナー、原真などの発言や行間にふれる部分が面白い。大澤真幸の「他の誰にも出来ない仕事」のところが良かったです。2021/03/03
あきひと
10
タイトルが気になり読んでみた。作者は新聞記者で大学時代は山岳部に在籍し、特派員として海外生活が長く、日本に戻って国内の山に行っていた方。ヒマラヤのダウラギリは8000m峰としては低いが、この方の事前の準備は体にメスを入れるほどの徹底ぶり。金と時間が大変だが、テント設営、荷運び、ラッセル、ルート開拓などはシェルパがやってくれるから、ヒマラヤ登山なんて名門幼稚園の遠足のようだ、と言うがなかなかどうして。前半はダウラギリだが、自分の人生を振り返りながら、これからの人生や老いを考える。文章は読みやすく上手い。2023/10/13
100名山
7
所謂登攀記ではなく定年まじかでありながら退職覚悟で会社に2か月間の休暇を申請したところ30年勤続特別休暇と有給とでダウラギリに行き、内省的に人生を俯瞰した読み物です。著者の読書量と多彩な人物との出会いには驚かされます。また出身母体である北大山岳部との強固なつながりも面白おかしく記されています。山を一人で歩いたことのある人は同じような思いを追体験できると思います。媚びることない非常に読みやすい文章です。2023/01/25
おかめっち
5
新聞で連載していた酔いどれクライマーが面白かったので。 ほぼ還暦にダウラギリを目指す登山エッセイ。 登りながら考えていることなど。 大手新聞社の記者で知識量が半端ないし、文章も魅力的で、登山に縁が無くてもグイグイ読まさった。2023/02/01