出版社内容情報
ベルリンで学んだゆとりある生活の知恵と工夫。母親の死で受け入れた辛い過去・・・木の葉のように気ままに、生きることが心から楽しくなるエッセー集。
小川 糸[オガワイト]
著・文・その他
内容説明
自分の幸せの先に、誰かの幸せがある。ふわり木の葉が舞うように、たどり着いたベルリン。母親との確執を越えて気づいた、「書く」ことの原点。ひと針ひと針、希望の物語を紡いでいく。生きることが心から楽しくなるエッセー。
目次
第1章 日曜日の静けさ(直感;自分だけのルール ほか)
第2章 母のこと(卵焼き;シャンソン ほか)
第3章 お金をかけずに幸せになる(物欲が消える;なくてもいいもの ほか)
第4章 わが家の味(文化鍋でお米を炊く;おせちと願い事 ほか)
第5章 双六人生(お風呂通い;怒る人 ほか)
著者等紹介
小川糸[オガワイト]
1973年生まれ。2008年に出版した『食堂かたつむり』が映画化され、ベストセラーになる。同書は、イタリアのバンカレッラ賞、フランスのウジェニー・ブラジエ小説賞を受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
336
小川 糸は、新作をコンスタントに読んでいる作家ですが、エッセイは、初読です。ツバキ文具店のイメージから鎌倉辺りに住んでいるのかと思いきや、現在ベルリンに暮らしています。本書で日独の文化の違いが良く解りました。毒母によって作家 小川 糸が誕生したとのことです。著者は色々な経験をしていて引出しが多いので、ユニークで優しい作品を紡ぎだすことが出来るんでしょうね。 著者のHPは、充実しています。 http://ogawa-ito.com/2018/12/16
hiro
141
糸さんのエッセイを読むのはこの本で6冊目。毎日新聞の「日曜くらぶ」に一年半の間連載された、デビューから10年を迎えた糸さんのエッセイ。日本航空の機内誌に原稿を書くために初めて訪れたベルリンの空気が快く、ベルリンに恋した糸さん。そのベルリンに関するエッセイが多いが、ベルリンにも連れていく愛犬・ゆりねのこと、糸さんにとって最愛の国・ラトビアのこと、そして今まで読んだエッセイでは触れられていなかった実母との確執のことも。表題の「針と糸」の意味はあとがきに書かれているが、なるほど深い意味があったのだ。2019/04/06
のぶ
131
小川さんの本を初めて読んだのは、2年程前の事。その後エッセイを含め、過去の作品をほとんど読んだので、このエッセイはその続きとして読む事ができた。小川さんのベルリン好きは前から分かっていたが、1年のほとんどをベルリンで暮らしているようで、当然そちらの話題が多かった。読んでいると、ベルリンの魅力が伝わってきて、自分も行ってみたくなる。日本とドイツの違いが描かれていたが、注目したのは、日本の曖昧さが恋しくなるという所。ドイツ人は白黒はっきりつける国民性だという部分だった。この先も続きそうなので今後にも期待。2018/12/08
ちゃちゃ
129
ひょんなことから暮らし始めたベルリンでの日々。日曜は静かな休養日として清々しい朝の森を歩く。お金をかけずに物を大切にして快適に暮らす…。日々の雑感を飾らぬやわらかな筆致で綴る糸さんのエッセイ。無理せず自然体で生きることの素晴らしさに私まで満ち足りた気分になる。けれど第二章「母のこと」では、激しく嫌悪していた母親との関係をありのままに語り、母親が末期癌で亡くなって漸く愛おしく感じたという。真率な感情の吐露に、『食堂かたつむり』の倫子、『ツバキ文具店』の鳩子の姿が重なり、ほろ苦さを含んだあたたかい余韻が残る。2019/08/19
修一朗
121
小川さんの本はツバキ文具店シリーズしか読んだことなくて,このエッセイ集読んだので,お母さんとのことはこのエッセイで初めて知った。そういやツバキ文具店もおばぁちゃんとの確執がテーマだったな。お母さんの四十九日以内限定でエッセイの題にしようと決めたそうだ。自分とのけじめも含めて。LOHAS的ベルリン生活便りエッセイは飛ばし読み。食堂かたつむりも母との確執がテーマなのね,小川糸さんの作品の根っこがちょっと理解できました。2019/01/02