出版社内容情報
甲子園はなぜ日本一なのか。野球ファンなら誰もが知るグラウンド整備の代名詞、阪神園芸。土のプロが明かす甲子園野球の真実。
金沢健児[カナザワケンジ]
著・文・その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
311
表紙の裏に書かれた「阪神園芸を知らずして、甲子園は語れない。」に、ノックアウトされた。知らないうちに、一気読み! 1世紀にも渡って培われた阪神園芸の、グラウンド整備術が惜しげもなく語られている。これをネタ本に、1本の良質なドキュメンタリーや映画が出来ること、間違いなし。高校野球の5回裏後の、グラウンド整備を「ハーフタームショー」のように眺めたい、とも思った。それぐらい、阪神園芸のワザは「神整備」なのだ。具体例が、これでもか、これでもか、と押し寄せて…、感動。「神」は、まさに細部に宿る。2024/08/12
chimako
79
個人的には児童書『すごいグラウンドの育て方』の方が面白かったなぁ。これは著者である金沢さん個人の事が多く語られた一冊。若い頃の失敗談も仕事に対する嫌な思いも描かれてはいる。努力も研鑽ももちろんあったがやはり彼は恵まれていたと感じる。グラウンドキーパーの大先輩に可愛がられた事がうかがえる。お幸せです。まぁ、それはそれで、やっぱり甲子園。球児たちの憧れの場所。阪神タイガースの本拠地。天然芝と土のコントラスト。今年は嬉しいことにシーズンは続く。よろしく頼みます。2023/10/04
きみたけ
77
著者は阪神園芸(株)スポーツ施設本部甲子園施設部長の金沢健児氏。2003年からチーフグラウンドキーパーになり、作業効率化やチーム力強化をはかり、阪神タイガースの監督や選手、また野球ファンからも絶大な信頼を得ている。グラウンドキーパーの仕事内容、クオリティーを保つ秘訣、著者の生い立ち、チームで継承する職人技などを紹介した本。雨天で中断した後に、短時間でグラウンドのコンディションを回復させるのはまさに神技です❗1月に行う「天地返し」がその年のクオリティーを大きく左右する決め手だそうです。2023/03/18
Kaz
37
高校野球中継の名アナウンサーと言えば、大阪朝日放送の植草貞夫氏。彼独特のフレーズ「青い空、白い雲」そして、緑の芝生のトリコロールが甲子園という日本野球の聖地を作り上げ、幾多の名勝負を演出してきた。そのコンディションを最上にキープするのがグラウンドキーパー。グラウンドへの散水ができるようになるだけで、3年はかかるというまさに職人の世界。その技は高校球児だけでなく、タイガースの選手たちからも高く評価されている。彼らのおかげで、甲子園は日本一のベースボールスタジアムであり続けるのだ。2019/01/26
nana&qoo
29
とても面白かったです。造園業の阪神園芸で甲子園のグラウンドキーパーをする金沢氏の職人芸を堪能できる1冊。オフシーズンに行う「水はけが良く、水保ちが良い」状態のグラウンドの土づくりや、整備の効率、選手の好みに応じたマウンドの硬さづくり、雨後のマウンドの素早い回復等、SNSでも『神整備』と絶賛される阪神園芸の仕事の技が綴られています。阪神の選手やTUBEのコンサート時のエピソードも素敵でした。短時間で最大の効果を上げるためにチームとして働く姿は、大工や新幹線の掃除スタッフ等他の仕事にも通じるものを感じました。2021/08/03