出版社内容情報
母親が育児や家事を一人で担う「ワンオペ育児」。この言葉を広めた著者が、子育て中の女性たちの過酷な実情に迫り解決法を提案する。
内容説明
気鋭の社会学者が、朝から晩まで働きづめの母親たちの実情に迫る。経済プレミア連載「育児サバイバル」が大反響、待望の書籍化!
目次
第1章 産みにくい社会
第2章 自称イクメン問題
第3章 孤独なワンオペ育児
第4章 「保育園落ちた!!!」
第5章 職場と上司の厚い壁
第6章 若者の理想と現実
第7章 ワンオペ育児を乗り切る方法
著者等紹介
藤田結子[フジタユイコ]
明治大学商学部教授。東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒、米国コロンビア大学大学院で修士号を取得後、英国ロンドン大学大学院で博士号を取得。2016年から現職。専門は社会学。調査現場に長期間、参加して観察やインタビューを行う研究法を用いる。日本や海外の文化、メディア、若者、ジェンダーなどについてフィールド調査をしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とよぽん
26
そうそう、本当にそう。男は何だかんだと言って家事・育児を女に押し付けてきた。この国はどうして子育てに寛容でないのか? 何が変わればワンオペの女性は自分を取り戻せるのだろうか。自分が子育てをしていた頃の奴隷的生活・・・息子や娘の世代には、少しはマシになっているだろうと思っていたが、この本で全く変わっていないということが分かった。筆者は研究者であり、当事者であり、主張に客観性と切実さがある。この秋、2児の父親になる息子に読んでほしいし、短期間でも育休を取ってほしい。2019/07/06
katoyann
22
ワンオペ育児とは、「当事者である親たちが社会現象に着想を得て発した言葉」(同書79頁)であり、牛丼チェーン店のワンオペ勤務になぞらえて、女性が育児を1人でこなす状況を指す。育休取得率は「在職中に出産した女性を分母とした割合」(同書26頁)であり、現実は出産を契機に54%の女性が退職していた(2010年)。また、男性が家事に全く関わらないため、時短勤務を余儀なくされ、出世を諦めていく(いわゆるマミー・トラック)。イクメンの啓発活動をする男性を支えるために妻がほとんど家事育児をするという事例に絶望感を覚える。2021/09/20
かおりん
18
ワンオペ育児は大変だし、片働きか共働きか、住んでいる地域によっても考え方は違うと思う。snsなどで不満を言いやすくなっているのもあるけど、不満の声ばかり集めている感じもする。気持ちのもちようもあるし、立派な家電やサービスもあるから、昔に比べたら…と言う中高年の人の考えも分かる。とにかく頑張りすぎないことが大事。2017/08/26
まゆまゆ
16
家事や育児が無償労働なのは愛情のひとつとして当然と考える男性側と、子どもを第一に考えて抱え込んでしまう女性側のそれぞれの意識が、ワンオペ育児を余儀なくさせてしまう実態を紹介していく内容。男性のいう育児は子どもの世話ではなく子どもとの遊び、との指摘はドキッとする……2017/09/06
華形 満
14
人気取りで「少子化対策」を訴える政治家先生達の必携資料。実際には自らが子育てに汗だくにならないと少なくとも"2010年代”の子育ては全くの異次元に突入しているのだと分らないだろう。6章まではそんな現代子育て事情レポート。7章の提言も、特に劇的なヒントは無く「それが出来れば誰も子育てに苦労しないよ」レベル。「保活って何?」と平然と言う世の部長、取締役さん達が圧倒的な社会が変わらなければ何も進展しないという事だけはひたすら痛感出来た。2017/07/28