内容説明
この国の政府は、原発避難者を消滅させようとしている。気鋭の記者が地を這う取材で徹底追及!政治家や官僚たちがいかに被災者を「復興の妨げ」として扱ってきたか。毎日新聞紙上での報道時から大反響!
目次
序章 避難者漂流
第1章 原発避難者とは誰か
第2章 避難者を苦しめる不合理な住宅政策
第3章 みなし仮設住宅―無責任の連鎖
第4章 官僚たちの深い闇
第5章 打ち切り―届かぬ声
終章 終わりになるのか
著者等紹介
日野行介[ヒノコウスケ]
1975年生まれ。九州大学法学部卒。毎日新聞記者。福井支局敦賀駐在、大阪社会部、東京社会部などを経て特別報道グループ。福島第1原発事故を巡り、県民健康管理調査(現・県民健康調査)の「秘密会」や、復興庁参事官による「暴言ツイッター」などを特報(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hatayan
37
毎日新聞の記者である著者が福島原発の被災者支援の政策を調査報道。 著者が明らかにしたのは、避難指示区域外から避難する「自主避難者」を原発事故の被害者と認めたくないという国の本音。被曝線量の上限を引き上げてでも避難区域の解釈を変更し、賠償にかかる経常的な費用負担を下げようとする国の強引な姿勢が被災者と交わることは当然ありません。 「結局どこかで線を引かねばならない。もやもやしたところが残るのが原発事故のいやらしさ」苦渋する政治家の言葉を引き出しながらも、事故を引き起こした国と東電の無責任をあぶり出します。2019/12/27
八百
27
東京五輪招致の際安倍晋三が言ったこと「福島は完全に制御されている!」…そのときは「大嘘をつきやがって」と憤慨したがどうやらそれは嘘でなく彼らは本当に2020年までに避難民を完全なる数字の制御でゼロにすることで事故の収束宣言を出すつもりなのだと言うのが本書の内容、そしてそれこそが「棄民」なのだと。本当だとすれば今騒いでいる公文書改竄問題など軽く吹っ飛ぶ大問題であるのだが毎日新聞の現役記者のリポートでありよくある告発本と断じてしまうわけにはいかないだろう。学ばねばな…まだ何も終わっちゃいない 2018/03/14
百太
26
冒頭部分には、「ヒッ!」 怖かったです。 2018/03/19
まさ
10
1年ぶりの読み返し。数字上、文言上だけで「収束」を国は求めているのではないか、と感じてしまう。 7年が経ち、終えていくフクシマの特例措置のニュースを見ていると、本書からの指摘が重要な意味を持つことを思い知らされます。2018/03/14
チェアー
10
自主避難者の住宅政策を巡る問題は無知で、初めて知る話ばかり。自主避難者は贅沢という見方がある。これには①年間上限20ミリシーベルトという線量の高いところに住むべきでない②国が言う「安全」は信用できない③自分の生き方は自分で決める、という論理で対抗するしかない。そもそも、原発災害は既存の枠組みでは対応は無理。2つ住民票を発行したり、通常の災害より長い期間支援を続けるなど、新たな発想と枠組みで対応すべきだ。通常の枠組みの下では、官僚も政治家も「まっとうな」対応をして被害者を切り捨てていくことになる。2016/05/15