内容説明
心と体を破壊される派遣労働者、ダブルワークの高校生、秋田書店景品水増し不当解雇事件、カフェ・ベローチェ雇い止め事件、過労死、学生ユニオンの闘い…若年労働者たちの過酷すぎる生を涙と怒りを込めて告発し、労働組合の新たなヴィジョンを伝える画期的ルポルタージュ。
目次
働く尊厳を取り戻すまで―派遣労働者と労働組合の出会い
ダブルワークの高校生―若者の就職をめぐる受難
学生ユニオンという希望―労働者の権利を学び、行使する
ストライキの復活―メトロレディースが立ち上がるとき
企業による殺人―過労死、そして遺族の闘い
人間としての価値まで奪われて―カフェ・ヴェローチェ雇い止め事件
心と体を破壊されて―労働規制緩和のゆがみと痛み
GSユニオンが職場を再建するまで―現場と仕事にこだわる男たちの闘いの記録
人らしく働かせろ―秋田書店景品水増し、不当解雇事件
一人で漂う若者たち―派遣労働者が仲間と支え合う道
ブラック企業時代の労働組合―今野晴貴×神部紅×東海林智
著者等紹介
東海林智[トウカイリンサトシ]
1964年山形県生まれ。88年法政大卒、毎日新聞社入社。社会部、『サンデー毎日』、横浜支局デスクなどを経て、現在社会部で厚生労働省担当。労働問題や貧困問題などをテーマに取材を続ける。著書『貧困の現場』(毎日新聞社)で日本労働ペンクラブ賞、新聞報道で貧困ジャーナリズム賞など受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
にゃんにゃんこ
6
自分の意思とは裏腹に、貧困や鬱病になる労働者の存在がある。それを救おうとする人達が居ることも事実である。2024/11/12
魚京童!
6
http://kuzirappa.blog.fc2.com/blog-entry-1416.html2014/02/05
どら猫さとっち
5
人間らしく働くことがとても困難な時代に、それ自体を望むことは、容易じゃないにせよ必ず実現できるはずだ。本書は過酷で理不尽な重労働やパワハラなどに苦しめながら、労働組合を通して、人間らしい働きたいと訴え、自分なりの幸せを模索する人たちの記録である。「もはや、労働組合がなければ生きていけない」と帯にあるとおり、労働組合の在り方はより親しみやすくなり、今や非正規労働者たちにとってはマストアイテムとなった。もっと労働組合を一般に広め、多くの人たちに頼れる存在に、これからはなって欲しい。2014/04/13
lily
3
入門書というイメージではなく、雇用問題に立ち向かう労働者のルポルタージュといった感じ。様々な原因で労働問題に悩む人々のリアル。トリクルダウン方式の限界を書いている。正社員は賃上げを要求せず、現状維持をよしとする。非正規社員との分断された人間関係がわかる。非正規社員の悲惨さ。「普通に働くことの難しさ」をせつせつと語っている。2014/02/07
やまもと
3
非正規雇用の増大。正規になってもブラック企業によって使い潰される若年労働者。労組の組織率が下がっている現在、こんな労働環境の中で労働組合の役割ってとても重要。この本でも労組によって自らの『当たり前の』権利を主張し、勝ち取ってきた人たちの話も紹介している。非正規雇用は職場での横の繋がりも家族との関係をも分断する。労組によって『繋がり』を実感し、それがパワーとなる。自らの職場や雇用は自ら守らなければならない。過酷な労働環境や、間違った労働政策、雇用政策はやはり改善しなければならない。声をあげる事の重要性。 2014/01/09