出版社内容情報
日本最初の女子留学生としてアメリカに11年滞在し、帰国後は生涯独身を通しつつ教育に身をささげ、津田塾大学を創設した津田梅子。日本における女子教育の先駆者となる梅子とその時代を描いた、読売文学賞受賞の伝記文学の傑作、緊急復刊。
内容説明
日本初の女子留学生としてアメリカに11年滞在し、帰国後は日本の女子教育に身を捧げた津田梅子。彼女が日本で何を見て何を思い、行動したのか。彼女が創設した津田塾大学で発見された膨大な量の手紙を紐解きながら、その生涯を追いかける。
目次
第1章 帰る
第2章 夢
第3章 苛立ち
第4章 悩み
第5章 怒り
第6章 招かれて
第7章 待つ
第8章 連なるもの
第9章 創る
第10章 芽生え
著者等紹介
大庭みな子[オオバミナコ]
1930年東京生まれ。津田塾大学卒。夫の海外勤務のため11年間アラスカに住む。68年『三匹の蟹』で群像新人文学賞、芥川賞受賞。2007年5月、逝去。著書に、『がらくた博物館』(女流文学賞)『寂兮寥兮(かたちもなく)』(谷崎潤一郎賞)『啼く鳥の』(野間文芸賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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卵焼き
110
津田梅子さんの生涯の本は、一度読んでみたかったので、図書館から借りてきました。 日本とアメリカでの文化のギャップに悩まされていた日々。レディーファーストについても語られていました。北海道開拓に携わった黒田清隆氏との関わりもとても興味深かったです。2022/03/03
壱萬弐仟縁
68
人の世のさまとは、事実がどうであったかということではなく、むしろ人が心の中でどのように思っていたかということかもしれないのである。なぜ、人は小説を読み、文学がこの世から消えないのか(37頁)。日本語の本質:長い、含みのある、意味のはっきりしない、理解しがたい(傍点)センテンス(63頁)。梅子の文章ウイットとユーモアがあり、ストレートなようで含みが多く、パラドックスに満ちている(164頁)。日本の男性は素人の女には近づかず、女は正当な方法では男性に近づくことはできない(165頁)。2022/01/30
エヌ氏の部屋でノックの音が・・・
11
2019年 7月30日 初版。。。馴染みの書店の文庫コーナーを回っていた時に発見し購入。読んでみて捨松と混同しているところがあった。幕臣の子弟で国替えさせられて、口減らし同然で岩倉使節団に随行させられたと思っていたが間違いであった。6歳で渡米したからそう思っていたのだろうか。本を読んで修正せねばと改めて思った本であった。梅子や捨松、繁子にしても国費留学で行ってきたにも関わらず、帰国後に彼女らを生かす仕事が無かったというより日本国で用意できなかったと言ったところだろうか。結局3名で英学塾を切り盛りし功を成す2019/09/24
すももんが
11
多額の費用をかけて留学したのに、政府は彼女たちを活かすことをせず、また女という理由で相応の仕事にも就けない。高等な教育を受けても、女性が社会で活躍する手段は皆無で、社会に働きかけようと思ったら、地位の高い男と結婚して、夫を通して自分の意思と夢を実現に近づけるしかない、という梅子の言葉は生々しい。夏目漱石の「三四郎」に出てくる美禰子も英語が堪能で教養があり、西洋の自由な女を気取っていたが、結局結婚して家庭に収まってしまったことを思い出した。100年以上昔の話だが、今も同じ課題を抱えていると思う。2019/07/27
マリ
8
素晴らしい。女性の学校大切と思います。少女が国費で外国留学なんて今もあるんでしょうか。。梅子は当時の 外国人差別について問われています。お札になるというところで、そこはしっかり批判をされつつ朝ドラ化に期待します。2020/11/17