内容説明
のんきな旅ではあるけれど、この一冊は震災後の自分の心の記録になった。横浜、奈良、鳥取、松本、函館、小田原、鎌倉、木曾。東日本大震災の直後、ひとり旅の達人は自らの故郷を含め、変わらぬ風景で迎えてくれる場所で、東北に思いを馳せた。
目次
横浜01―桜木町に桜を植える
横浜02―外人墓地の連理の梅
横浜03―朝のクラブハウスサンド
横浜04―港におろした最後の錨
横浜05―横浜の清貧の居酒屋
奈良01―古都の晩春、温かな酒
奈良02―大仏様と白寿の媼
奈良03―阿修羅、憂愁の眼差し
奈良04―大和の空の弓張月
鳥取01―因幡の白兎のトビウオ〔ほか〕
著者等紹介
太田和彦[オオタカズヒコ]
1946年生まれ。68~89年/資生堂アートディレクター。89年/アマゾンデザイン設立。00~07年/東北芸術工科大学教授。本業のかたわら居酒屋・旅などの著作多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おいしゃん
23
旅と居酒屋のエッセイ。今作も楽しく読めた。著者のように、全国に馴染みの居酒屋があったら楽しいだろうなぁ。震災後に書かれたため、だいぶ感傷的な感は否めない。2017/03/06
Kenji Hori
5
サンデー毎日連載の「ニッポンぶらり旅」をまとめた本の2作目。今回は、横浜、奈良、鳥取、松本、函館、小田原、鎌倉、木曽。8つの町は、それぞれ僕も行ったことがある。横浜、鎌倉は近いので何度もいったことがあるし、奈良は仏像に魅入られ30代前半に3連泊した。鳥取は会社の先輩と車で訪れた。松本、木曽は高校の修学旅行。松本はその後もたびたび訪れた。函館は遠いにも関わらず、4回も行っている。小田原は同じ県内だけど、1度だけ小田原城を見に行った。それぞれに思い出があり、また行ってみたい町だ。 2015/06/02
Machida Hiroshi
4
本書は、居酒屋探訪家の他に明治・昭和初期の洋館マニアである著者が、東日本大震災後に日本各地をひとりでぶらり旅をした記録です。震災は多くの人の暮らし向きを変えてしまいました。あの地震で崩れ、津波に流されてしまった東北の景色はそれほど衝撃的でした。筆者も三日間酒を飲む気にならなかったと言います。それが筆者を故郷松本、木曾に向かわせたようです。故郷の変わらない風景を確かめずにいられなかったのでしょう。もちろん食事や居酒屋も欠かせませんが、風景や建物の描写も多く、著者の興味の向く先がよく分かる良い旅の記録でした。2016/09/27
ワッツ
3
平成二十三年三月の横浜から飲んだくれ紀行。我が地元の頁を読んだが素敵で、こっちまで地元が好きになりそうな書き方をしていた。住んでいると逆に良さがわからないどころか興味もなくなるので、改めて読んでいて地元も悪くないなあと思った。それどころか太田が住みたいとまで言っているので、小生も地元の良いところ、もっと探っていきたい。2017/01/10
ゆきむすめ
3
ぶらりと旅に出て街角の居酒屋で地酒を飲んでみたいな~、なんて思ってしまいました。馴染みの土地が多かったので町の様子がわかり尚楽しかった。驚いたのは『木曾の旅』でニュースで知った名前を見たこと。この夏、土石流の犠牲になってしまった少年は確かに生きていたんだ!僅か数行の文章だったけど切なくなりました。2014/10/22