内容説明
欧米による「近代」の押しつけに対する、イスラム的抵抗の歴史に深く分け入る。人類史の矛盾を背負わされたパレスチナ問題をはじめとする、現在のイスラム世界の絶望の声を聞きとる。テロと報復戦争の悪循環を断ち切り、宗教や民族の異なる者同士が平等に出会える社会をつくるために。
目次
序章 「イスラムの犯行」なのか
第1章 ポストモダン時代のイスラム運動
第2章 アフガニスタンと中央アジア
第3章 イスラム復興運動の長期波動
第4章 パレスチナ、非宗派民主国家への夢
第5章 イスラエル人という揺らぐアイデンティティ
終章 絶望した人たちを見出す
著者等紹介
臼杵陽[ウスキアキラ]
1956年大分県生まれ。東京外語大学アラビア語学科卒業、東京大学大学院国際関係論博士課程単位取得退学。在ヨルダン日本大使館専門調査員、佐賀大学講師・助教授、エルサレム・ヘブライ大学トールマン平和研究所客員研究員などを経て、現在国立民族学博物館地域研究企画交流センター助教授
平井玄[ヒライゲン]
1952年生まれ。早稲田大学文学部抹籍。思想史、音楽社会史研究。現在、早稲田大学文学部講師
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感想・レビュー
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村山誓一
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本書が出版された2001年(911の約3ヶ月後)から19年。パレスチナ問題の位置付けは大きく変わっているように思える。「アラブの春」とその後の混乱、紛争やイランを巡る動きを経て、アラブ諸国のイスラエルとの関係が変化している。他に重大な動きが事件が多すぎるためか、中東のニュース番組のヘッドラインも、最近の正常化に関するものを除きパレスチナ関連の内容を見ることが以前より減った気がする。ただ、難民や占領の問題は解消されておらず、和平への動きの停滞が続く限り、本質的にはイスラム圏の中心的課題であり続けるのだろう。2020/04/15