内容説明
1万6000人もの日本人移民を南米の密林に棄てた外務省。その無情な行政と現地で格闘し続けた担当者が、今なお変わらぬ官僚たちの腐敗と行状を証言する。
目次
志を抱いて
汚濁の追及
移民の募集は詐欺―アマゾン
「神代の時代」に逆戻り
最貧国に次々と―パラグアイ
決心
支払った機密費を横取り―カリフォルニア
外郭団体は腐敗の塊
原始林に棄てられ―ボリビア
文化果つるところ〔ほか〕
著者等紹介
若槻泰雄[ワカツキヤスオ]
1924(大正13)年、中国青島市生まれ。1952(昭和27)年、東京大学法学部政治学科卒業。農林中央金庫を経て、1954(昭和29)年から1963(昭和38)年まで日本海外協会連合会(現・国際協力事業団)に勤務しサンフランシスコ、ボリビア両支部長を歴任。玉川大学農学部助教授を経て、1973(昭和48)年から1990(平成2)年まで同教授。専門は国際人口移動論
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感想・レビュー
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ねこまんま
14
先日「ワイルド・ソウル」を読んで、南米への棄民政策なるものを知って衝撃を受け、本書にたどり着きました。 わざわざ地球の裏側まで連れて行ってジャングルに棄ててくるって、犬や猫にも劣る仕打ち、これぞ国家的詐欺以外の何物でもないでしょう。著者には当時からの現状を見てきているだけに、個人的感情をぶちまけている感が多々あるけれど、それらをさっぴいて読んでみても、政府の無知無策、無能っぷりには開いた口がふさがりません。自国に騙されて、現地で亡くなった方の無念を思うとやりきれない思いになります。 2014/05/06
yu yu
7
『ワイルドソウル』の参考資料にあったので。2017/06/23
kanaoka 57
6
戦後の人口問題への解決策の1つとして海外移住政策が国策として進められ、それは高度経済成長の始まりまで続けられる。行政の無策、無知、無責任、そして詐欺的な数々の活動により、この間、多くの移民が中南米の地で、悲惨な状況の中、死に追い込まれ、少年少女が教育を受けることなくその才能を無駄にしていった。そして、多くは現地に同化し、一握りのものだけが、運と自らの力で成功にいたった。(続く)2024/06/13
友川サイコー
4
官吏の不作為がもたらした棄民という惨状を当事者が内部告発した必読書。「自国民をこのような条件の下に移住させた国の政府というものは、世界の如何なる国の政府よりも無知にして非情な政府である」著者。「官職は人間に対して、人間らしい同胞的態度をとるものでなく、これを物品として取り扱うことのできる唯一の職業である」トルストイ。2017/02/17
みぃ
2
小説ワイルド・ソウルから流れ着いた本。怒りと悲しい気持ちがフツフツ。あいた口がふさがらないという内容。読めてよかった。2023/05/10