内容説明
貪欲そのものであったバブル経済が崩壊してなお、依然としてそのイデオロギーから脱却できずに呻吟しているのが、日本の現状である。大量消費・大量廃棄などの「貪欲」に代わる「少欲知足」とは、仏教でいう「智慧」の実践。地球環境保全を最優先させるべき21世紀に踏み出した新たな経済思想と、社会的実践を提言する。
目次
第1章 少欲知足と智慧と―貪欲と執着を捨てるとき
第2章 和の精神と地球環境時代―仏教思想「共生」に立って
第3章 「知足の経済学」を求めて―仏教経済思想の中から
第4章 東洋思想「足るを知る」を汲み上げるとき―生活者主権の確立を
第5章 ゼロ成長経済の構図―循環・共生型社会をめざして
第6章 「持続可能な発展」と憲法の新理念―足るを知る思想の具現化
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おおにし
8
「貧欲の経済学から知足の経済学へ」。とても素晴らしい提言ですが、提言の中身は経済学ではなく経済思想ですね。ゼロ成長で十分で、マイナス成長でも構わないと我々一人一人が感じ、自分の物欲を捨てて「真の豊かさ」を実感するためにはどういう経済社会をつくるべきか、もう少し具体的に論じて欲しかったです。シューマッハの仏教経済学には興味があるので、こちらは一度読んでみたいと思います。2012/10/16
nizimasu
2
仏陀の「足るを知る」のキーワードに現代経済学から、仏教経済学へという視点はおもしろいのだけれど、古今の書に求め、サスティナビリティとかどこか、聴いたことのある言葉が並んでどうにも消化不足。気持ちはわかるんだけど、もっと筆者の言葉で語った欲しいというのが正直なところでした2012/10/11
マウンテンゴリラ
0
本書の中で言及されているシューマッハーの「スモール・イズ・ビューティフル」については、かなり以前に読んだことがあり、地球環境問題や持続可能な発展にたいする貴重な提言であると感じたことを思い出した。その後、環境問題に関して、環境ホルモンやダイオキシン問題などやらせ的な臭いのする問題が次々と浮上したり、環境問題を過度に煽り立てることへ警告を発するような書物が多数出たりと、環境問題に敏感になりすぎることにも警戒を感じるようになった。2013/03/15