内容説明
本書は、鶴見俊輔の全仕事を態度の思想としてつかんだ見とり図と、態度の思想を自分の体験でためしてみる実技からなりたっている。やさしくて、役に立つ、みんなの哲学デス。
目次
はじめに―私をつかむために 『フラッシュ・ダンス』から『インディ・ジョーンズ』へ
第1章 鶴見俊輔の思想(思想観;仕事―哲学、コミュニケーション、大衆芸術、自分、政治、伝記、歴史;個人史―架空インタヴュー)
第2章 私の体験から(信念;態度―吉野源三郎著『君たちはどう生きるか』を参考に;生活術―ルポルタージュ)
おわりに―80年代の美意識をもって ボブ・グリーン、村上春樹、ロバート・B・パーカー達の世界
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
踊る猫
21
鶴見俊輔から学べるものはなんだろうか。上原隆は、一見するとうざったい自分語りの中にその答えを、実践する形で溶かし込んでいるように思う。それは拍子抜けするほど簡単なことで、真面目にとっさに正しい判断ができるように己自身の反射神経を鍛え上げること、どんな異常事態に陥っても本能的な次元で他者を「殺さない」ように思索を身体に叩き込むことだ。私自身この本を読んで、自分自身の変えようもない体質はちょっとした日々の努力や工夫で変えられうると思い知ったように思う。鶴見の入門書にはなりえないだろう。だが、侮れない一冊である2022/02/20
Bartleby
6
鶴見俊輔さんの哲学から「態度(反射)」「生活術」という言葉を取り出して筆者なりの解釈、実生活での応用例が書かれている。いざというときにその人の行動を左右するのは、頭の中の信念や思想ではなく体にしみついた態度。態度を変えたければ、考えるだけでなく日々の生活の中でのなにげない工夫(生活術)から変えていかなければならない。結論は平凡であるようだけれども、その人の生活を含めたものとして思想を捉えなおそうという試みには共感できた。2011/11/22
ステビア
3
良著!その後の上原氏の面影も少しあるような。2013/10/26