出版社内容情報
『マークスの山』『レディ・ジョーカー』『冷血』の合田雄一郎シリーズ、待望の文庫化!12年前、元美術教師が殺された未解決事件。当時の捜査責任者合田の胸に、後悔と未練がくすぶり続ける。そこへ、思いも寄らない新証言が--。
内容説明
27歳、風俗店アルバイトの上田朱美が殺害された。彼女は12年前、クリスマスの朝に起きた殺人事件に関わっていたという。潤んだ昏い目。大人でも子どもでもない異形の生物―当時の捜査責任者・合田雄一郎の脳裏に、うつくしい〈少女A〉の姿が蘇る。「自分たちは一体何を見落としたのか」。合田、悔恨の未解決事件が再び動き出す!
著者等紹介
高村薫[タカムラカオル]
1953年、大阪市生まれ。90年『黄金を抱いて翔べ』で日本推理サスペンス大賞、93年『リヴィエラを撃て』で日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞。同年『マークスの山』で直木賞、98年『レディ・ジョーカー』で毎日出版文化賞、2006年『新リア王』で親鸞賞、10年『太陽を曳く馬』で読売文学賞。17、18年『土の記』で野間文芸賞、大佛次郎賞、毎日芸術賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mayumi
10
合田雄一郎シリーズ。27歳の女性が同棲相手に殺される事件が発生。捜査の過程で、彼女が12年前の老女殺しに関わっていた可能性が浮上する…というストーリー。この作品、ちょっと実験的な文体で、登場人物の会話はすべて文章の中で語られる。「 」は使われていない。よって、少々根気のいる読書となった。しかし、そこは流石の高村薫であり、読ませる筆力はある。それぞれの視点から語られる12年前の事件。全容はまだまだ見えないまま下巻へ。2025/05/24
coldsurgeon
1
定年が近づいた合田雄一郎刑事のやり残した未解決事件が、動き出す。解決に向かうのか。当時の事件関係者は、思春期の少年少女たちは大人となり、ある者は子を産み、あるいは結婚し、ある者は殺されてしまう。その中で、その中で、当時の拾いきれなかった事実が、浮かび上がっていく。見てもみなかった振りをして生きていく少年少女たち。2025/05/24
A
1
独特の文章で入り込むのに時間はかかったけど、入り込んだら早い。過去なのか今なのか、本当にあったのかもわからないことが次々に頭に浮かんでは消えて次の瞬間には忘れているような、とりとめもない記憶ばかりで描かれるから全然つかめない朱美の人物像。でもそれがリアルだと思う。2025/05/17
ナオ
0
久々の高村小説。合田が年取ってる…。2025/05/19
ナツメグ
0
我らが合田雄一郎!これでもかと当時の風俗が描かれるけど、高村薫の文体でドラクエやゲームを説明されるのに違和感は否めない。さて、12年前の事件は解決するのか。2025/05/15