出版社内容情報
日本の果てに生まれた幻の都市・名護屋を中心に朝鮮出兵に巻き込まれる人たちの物語。そして、ただの一人もたどり着けなかった秀吉の真意が最後明かされる。
内容説明
16世紀末、二度にわたって繰り広げられた文禄・慶長の役。なにゆえに、天下人・秀吉は晩年に朝鮮を目指したのか。いまだ諸説粉々、日本史上最大級ともいえるこの謎を俯瞰の視点で解き明かす!この戦のために造成され、わずか6年半で役割を終えた都・名護屋の姿と秀吉に巻き込まれていく人々の内面を鮮やかに描いた歴史長編。
著者等紹介
門井慶喜[カドイヨシノブ]
1971年、群馬県生まれ。同志社大学文学部卒。2003年、「キッドナッパーズ」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。16年、『マジカル・ヒストリー・ツアーミステリと美術で読む近代』で日本推理作家協会賞(評論その他の部門)を受賞。同年、咲くやこの花賞を受賞。18年、『銀河鉄道の父』で直木三十五賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ポチ
42
秀吉の朝鮮出兵を巡り大名、商人、その他架空の人物達がそれらしい理由を考え、秀吉も答えるが…。読み易いが盛り上がりにいまいち欠けながら淡々と物語は進む。読後の印象はあまり無かった。2024/09/03
はちこう
15
本作は秀吉がなぜ朝鮮に出兵したのかを様々な立場から紐解いている。本書の中で秀吉はその理由を所謂「成長欲」的なものとしているが、それは企業家が会社を大きくしようとする考え方と似ており、それも理由の一つかもしれないが、歴史家が説く通説を含めた複合的なものなのではないだろうか。著者の作品は「自由は死せず」に次いで2作品目。本作は「自由は~」と比べて創作要素が多過ぎる。小説なので創作が入るのはある程度はやむを得ないが、その創作人物の方が本来のテーマより目立っている点を残念に思う。 2024/10/19
イシカミハサミ
14
やっぱり門井さんの文は これくらいの時代背景がいちばん落ち着くな。 本書は秀吉が朝鮮征服を志した、 その動機に迫っていく作品。 骨子はそこだけれど、 もちろん内容的にはそれだけでは終わらない。 性(さが)はおそろしいもの。2024/09/20
あっくん
11
門井氏の著作は『家康、江戸を建てる』以来。家康〜は読んで面白かったので本作を書店で手に取った。 朝鮮出兵の前線基地として築かれた名護屋城を舞台に「なぜ秀吉は朝鮮出兵を実行したのか?」という謎を描いていく。が、ちょっと期待外れでした。だが名護屋城址はいつか行ってみたい場所のひとつ。2024/07/28
coldsurgeon
8
豊臣秀吉の朝鮮出兵の理由は不明という謎を、問い続けることにより真相に迫ろうとする物語。朝鮮出兵の理由は、秀吉自身にもよくわかっていないのではないかと思う。後付けで。様々な理由をつけるこてゃ可能だが、欲望の限界を知らないがゆでに生まれた事件であったのではないか。あまりにも早く頂点に達した男の悲劇の結末が、朝鮮出兵なのかもしれない。2024/08/20