内容説明
なぜ甲子園のグラウンドは日本一なのか。悪天候にも重機の轍にも負けない、グラウンド整備の代名詞、阪神園芸。日本野球界が誇る技の神髄が、今、明らかになる。
目次
第1章 グラウンドキーパーの正体(グラウンド整備のプロ;阪神園芸の強み)
第2章 「神整備」は一年がかり(土は生き物;クオリティーを保つ秘訣 ほか)
第3章 甲子園と共に生きてきた(甲子園に入り浸る小学生;グラウンドキーパーへの道のり ほか)
第4章 チームで継承する職人技(グラウンドキーパーの適性;一流の育て方 ほか)
著者等紹介
金沢健児[カナザワケンジ]
1967年6月6日、兵庫県神戸市生まれ。グラウンドキーパー。阪神園芸株式会社スポーツ施設本部甲子園施設部長。球場職員だった母親に連れられ、幼いころから甲子園での試合を観戦。中学・高校時代から、アルバイトで甲子園のスコアボードの作業やグラウンド整備に携わる。会社員を経て、20歳のときに阪神園芸に入社。藤本治一郎氏、辻啓之介氏といった伝説のグラウンドキーパーたちのもとで経験を積む。2003年7月からチーフグラウンドキーパー。グラウンドキーパーのチーム化、作業の効率化をはかり、阪神タイガースの監督や選手のみならず、広く野球ファンの絶大な信頼を得ている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nemuro
48
9月13日、西宮市甲子園高潮町、阪神電車甲子園駅前の「Corowa甲子園店」地下1階、「くまざわ書店コロワ甲子園店」での購入。4年ぶり「甲子園参戦!&関西書店巡り」8軒目の書店。2003年を皮切りに2005年以降は毎年恒例の甲子園参戦ではあるが、このショッピングセンター及び書店に気が付き、行き始めたのは、たぶん2017年頃から。先日、阪神園芸が実名で登場の『あめつちのうた』(朝倉宏景)を読了したばかり。甲子園球場に一番近い(と思われる)書店で本書が買えたのが嬉しい。ただ水捌けが良いだけの球場ではなかった。2023/09/27
d3
35
阪神園芸と聞いてピンとくる人は野球ファンだろう。甲子園のグラウンド整備を担っている会社である。 ただ、甲子園専属というわけではなく、本業は造園業であり、甲子園施設部というセクションが甲子園のグラウンド管理を任されている。 大変な知恵と労力で開発されてきた技の数々。グラウンドキーパーのチーフである金沢氏が本書で明かす整備へのこだわりは熱く、興味深い内容ばかりだ。 我々ファンが目にしている“日本一のグラウンド”が、伝承されてきた確かな技術によって作られていることを教えてくれる。2023/04/02
まるぷー
24
何気なく見ている甲子園球場のグラウンド整備。その時の気温や天候、湿度などを鑑みての整備の仕方が違う。しかし、ノウハウはない。長年培ったキーパーの経験と勘によるものが大きい。土は生きている、荒れたグランドの土をどこへトンボで持っていくにより最良のグラウンドが仕上がる。キーパーは裏方に徹し、選手に最高のプレーしてもらうこととイレギュラーバンドなどによる怪我をさせないこと。あの美しい黒土のグラウンドと天然芝の外野を作り出すことにそんなキーパーの願いが込められている。早い、安い、上手いの阪神園芸さんの技に笑った。2024/05/02
丸々ころりん
13
開園100周年 高校野球の聖地 プロ野球の歴史にはなくてはならない球場 この球場を整備維持に貢献している 『阪神園芸』 選手がいいプレイをする為に縁の下の力持ちのグランドキーパー その仕事振りとグランドは生きていることを教えてきれる一冊です。2024/09/16
ブック
7
先日、甲子園ボウルの観戦に行き、内野に敷かれた美しい芝生に目を奪われると同時に、ピッチャーマウンドの復元のことを思っていたときに新大阪駅の書店で出会った一冊。何より、著者であるグラウンドキーパー金沢健児さんの文才、伝える力に驚いた。そんな才能のある人だからこそ、甲子園という場所や、土、芝生をきっかけに様々な人と人を繋ぐのだろう。彼のナラティブの力がたくさんの共感を呼び、好循環を生み出すのだと思った。甲子園球場の偉大さにも気付かされる良著だと思う。多くの人に読んでいただきたい一冊だ。2023/12/20