内容説明
藪内の読書感想文、昔の入選作のパクリだって―SNSに投じられた生徒の「告発」が発端となり、学校代表の「読書感想文」に盗作疑惑がかけられた。作文指導をした文芸部顧問で国語教師の汐野は、校長からの指示で、問題収拾に奔走するも、噂は急速に拡散し、遂にネットニュースの記者が嗅ぎつける事態に…。嘘つきは先生か、生徒か。エンタメ小説の鬼才が教育現場のリアルに迫った学園震撼サスペンス!
著者等紹介
月村了衛[ツキムラリョウエ]
1963年生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒。2012年『機龍警察自爆条項』で日本SF大賞、13年『機龍警察暗黒市場』で吉川英治文学新人賞、15年『コルトM1851残月』で大藪春彦賞、『土漠の花』で日本推理作家協会賞、19年『欺す衆生』で山田風太郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えみ
65
尋常ならぬ展開に切歯扼腕、暗鬼の冷笑を目撃したら…必滅の運命を予測する。教師も生徒も保護者も、ひとりの女子中学生の書いた「読書感想文」の盗作疑惑から端を発した一連の事件を通して徐々に本性が曝け出されていくそのリアルな悍ましさが、これでもかというほどに書かれている。失墜する信頼、増殖する憎悪、一体誰が?何のために、何故SNSへ投じたのか?学校という閉ざされた世界を、外連味のない筆致で描かれたこの震撼する一冊は、間違いなくフィクションを越えてくる。人は誰しも暗鬼を身の内に飼っているのだ…。騙されてはいけない。2023/05/28
オーウェン
56
月村さんの作品では、こういうイヤミスのような展開は珍しいのではないか。教師の汐野が生徒のLINEで知った、読書感想文コンクールの作品の盗作疑惑。それによって教師から生徒までが疑心暗鬼になり、多くの人間の人生を狂わせていく。冷静に考えれば真の犯人はすぐに分かるはずだが、際限なく膨れ上がっていく噂は止められないのが今の時代。また建前を気にして、本音を引き出せない教師と生徒のやり取りをこれでもかと見せられる。最後は誰も得をしないような流れだが、唯一あの人だけは興味のないことには無関心なのが功を奏したのだろうか。2024/01/14
ぶんぶん
20
【図書館】軽い気持ちで借りて来た、465頁凄く重かった。 単なる盗作作品を巡る話かと思ったら、学園の底無しの闇を描く話だった。 誰一人として信用が出来ないストーリー、どうしようもない暗い話だった。 月村了衛にしてはサクサク進まなかった、後半は良かったのですが、前半で止めようと何度も思った。 主人公に思い入れをしてたので、最後のどんでん返しに驚いた。2024/09/20
すたこ
10
★★★なるほど。思ってたのと違ってた。前半のダラダラ感がすごくて途中で止めてしまおうかと思った。教育現場の深い闇が恐ろしい。でも、ちょっと長かった…ラストのどんでん返しは思い付かなかった。2024/12/26
のじ
9
主人公の教師にはその行動の動機からぜんぜん同情できないけれども、話がどうなっていくのかが気になって読み進めさせられました。話全体を通して、もうちょっと教員もメディアも保護者も問題をデリケートに扱うべきじゃねえの?ってもやもやした。2024/09/29