出版社内容情報
富士山麓のイチゴ農家を舞台に描く、<日本の家族>の明るい未来図!感動長編
内容説明
農業なんてかっこ悪いと思っていた―父親が倒れ、やむなく家業の農業を手伝う恵介。両親は知らぬ間にイチゴの栽培にも手を出していた。農家を継ぐ気はないが目の前のイチゴをほうっておくことはできない。一方、東京においてきた「農業反対」の妻との間にミゾができ始め…富士山麓のイチゴ農家を舞台に、これからの農業、家族の姿をみずみずしく描き出す感動作。
著者等紹介
荻原浩[オギワラヒロシ]
1956年、埼玉県生まれ。成城大学経済学部卒業。広告製作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞、14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞、16年『海の見える理髪店』で直木三十五賞受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
相田うえお
117
★★★★☆20053【ストロベリーライフ (荻原 浩さん)】主人公の男性は、広告代理店を辞めてグラフィックデザイナーとして独立したものの、閑古鳥が鳴いているような状況。そんなときに田舎で苺農園を営む父親が倒れて入院。急遽、父の農園をなんとかせざるを得なくなり苺作りをやり始めるんです。自宅に妻と息子を残しまま。妻との関係は微妙になるし農園も大変。さて!みたいな流れの話です。読むと苺にちょっとだけ詳しくなった様な気がします。とてもこんな風に上手くいくとは思えませんがハッピーエンドで安心しました。🍓食いてー2020/05/05
ふう
104
400㌻をほぼ一日で読み終えたのは、やはりおもしろかったから。そして、読みやすかったからですね。嫌がっていた農業、苺作りにのめり込んでいく主人公の心の動きや農業の大変さがひしひしと伝わってきて、これから苺を買うたびに「ありがとう」と言ってしまいそうです。親がどんな思いで仕事をしてきたか、親になってみないとわからないのかもしれません。家族のあり方、子どものかわいらしさなど荻原さんらしいなと思いましたが、なぜかちょっともの足りなさも覚えました。何か足りない。荻原さんらしい作品なのに荻原さんらしさが足りない…。2019/11/22
ゴルフ72
85
あんなに嫌っていた農業なのに父が倒れたのをきっかけにその目指していたものがやっとわかった。農業の難しさを意外とさらっと書くも奥深い家族の愛や夫婦の絆、我が子との心の交流を荻原さんは今回もうまく表現している。恵介の美味しいイチゴが食べたい!晴れた日の冬の富士山が見たい!2019/12/27
菜穂子
82
三人姉妹のその下、末っ子男子の恵介は農家を継ぐことを拒み、自分の夢を追いって都会へ。広告代理店勤務から独立してグラフィックデザイン事務所を構えたが、仕事が下降の最中、父が脳梗塞で倒れた。あれほど嫌った農業だったが、イチゴを見捨てる訳には行かない一心で母や姉たちの手と、幼馴染の知識を頼りに、悪戦苦闘しながらイチゴ栽培に夢中になっていく。姉弟それぞれの家庭にトラブルを抱えてながらも、父と母の魂を受け継いだ恵介の農業は大勢の家族を巻き込んで夢を広げていく。出来すぎ感はあったが心から楽しみました。2021/06/04
Kazuko Ohta
81
農業にまるで興味のなかった人が農業する話だよねぇ。そう思いながら読み始めました。その予想と寸分違わず。主人公の元の勤務先が広告代理店だから、大好きな“ユニバーサル広告社”シリーズと重なることを期待したけれど、そんなことはなく。苺は好きでも、苺の作り方いろいろ説明されたところでなかなか興味は持てません。でも私にはこの人の擬態語がツボだ。主人公の幼い息子の行動を表す擬態語に思わず笑う。なんだかんだで読まされて、じわっと笑わされ心打たれ、気がつけばすんなり読了していた全430頁。人が何かに没頭する姿ってええな。2020/07/14