出版社内容情報
青年は鬼(グイ)となってこの世に舞い戻った。三毒を討伐するために――。舞台は毛沢東率いる中国共産党が全権を握る中国。拾い子ながら愛情豊かに育てられた?雨龍を待ち受ける過酷な運命と成長を描いた、感動のエンターテインメント長編。
【目次】
内容説明
一度死んだ〓雨龍(とううりゅう)がふたたびこの現世へ舞い戻ってきたのは、甲辰の年の十月十八日のことであった―。舞台は、毛沢東率いる中国共産党が全権を握る中国山東省の吹牛村。捨て子の〓雨龍は、養父の〓継漢と養母の李秀媚の庇護のもと、姉の李平や犬の皮蛋とともに平和な少年時代を送る。そんなある日、共産党の青年幹部・田冲が村に赴任し、一家の暮らしにささやかな変化が訪れる。じつは、田冲は、養父の〓継漢と浅からぬ因縁があり、復讐の機会を虎視眈々と狙っていた。
著者等紹介
東山彰良[ヒガシヤマアキラ]
1968年、台湾台北市生まれ。9歳の時に家族で福岡県に移住。2003年、「このミステリーがすごい!」大賞銀賞・読者賞受賞の長編を改題した『逃亡作法 TURD ON THE RUN』でデビュー。09年『路傍』で大藪春彦賞を受賞。15年『流』で直木賞を受賞。16年『罪の終わり』で中央公論文芸賞を受賞。17~18年『僕が殺した人と僕を殺した人』で、織田作之助賞、読売文学賞、渡辺淳一文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
153
東山 彰良は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 第二次世界大戦終戦後の激動の時代、中国山東省が舞台の物語、上巻は一気読み、すぐに下巻が読みたいですが、図書館の配本の関係で、来週以降になりそうです。トータルの感想は、下巻読了後に。 https://mainichibooks.com/books/novel-critic/post-731.html2025/08/09
たいぱぱ
57
「一度死んだ佟雨龍がふたたびこの現世へ舞い戻ってきたのは、甲辰の年の十月十八日のことであった」。毛沢東率いる共産党が国民党を駆逐していく時代の山東省が舞台。冒頭で死ぬことがわかっている佟雨龍の育ての親・佟継漢の子供時代から始まる物語は、幾人もの魅力的なキャラ(犬も含む)と共に暴力的だが人間味のある東山沼に突き落としてくれます。三毒とは貪欲、怒り、愚痴の事を指す仏教用語。三毒がどう絡んでくるのか?冒頭の一文が比喩なのか?それとも現実に起こるのか?ワクワクしながら下巻の沼まで落ちていきます。2025/09/19
ずっきん
52
ああ、至福の時間である。あっという間に上巻を読了してしまった。さて、まだまだ半分残っていると喜ぶべきか、いやいやもう半ばを越えてしまったと嘆くべきか。東山彰良の筆は本当に気持ち良すぎる。物語と登場人物が躍る小説は数多あれど、読み手をも躍らせる書き手がどれほどいようか。いやもう、マジやばい。さあ、下巻へ。2025/09/08
クリママ
36
日本軍が戦争に敗れて山東省を去ったあと、胡麻油売りをしていた若き佟継漢に拾われ、周りからは日本人と揶揄されつつも、衣食満ち足りたあたたかな家庭で育てられた雨龍。育ての親を殺され姉を慰み者にされた恨みを晴らした彼は銃殺されたが、再び現世に戻ってきた。初めにあらすじが書かれ、わかっているストーリーが面白いのかと戸惑うものも、杞憂。日中戦争時には手を組んでいた共産党が国民党が覇権を争う不安定な世情の中、暴力的で粗野でパワフルな中国の農村に圧倒される。まさに東山作品。下巻はどうなる。碧眼の無空和尚と義和犬皮蛋は。2025/09/20
もえ
33
待望の単行本化!2023年8月から1年半に渡って新聞連載され、連載中は夢中になって読んだ。舞台は抗日戦争後から文化大革命直前にかけての中国。激動の時代を生きた佟一族の物語が荒唐無稽な世界観で展開される。何しろ冒頭で、主人公の佟雨龍が銃殺刑になった後現世に舞い戻ってくるとあるのだ。彼は日本人の赤ちゃんで、油売りの佟継漢に雷雨の中拾われる。お転婆の李平や義和犬皮蛋と共にすくすくと育つ。上巻は、なぜ曲がったことが嫌いな佟雨龍が銃殺刑にならなければならなかったのか?が語られており切ない。義和犬皮蛋の運命にも涙。2025/08/09
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