出版社内容情報
「永遠の仔」「悼む人」「家族狩り」に続く新たな“世界”の誕生!作家初の本格時代小説!幕末から明治維新へ--伊予松山(愛媛)を舞台に激動の時代を生き抜く3人の若者を描いた感動歴史長編。
内容説明
藩士・大原観山の命で新選組の原田左之助を訪ねたヒスイと救吉は、旅の途上で、かつて山中で命を救った坂本龍馬と再会。その後、沖田総司ら新選組の隊士たち、長州の桂小五郎、高杉晋作ら新しい世を作らんと志す傑物たちと出会う。いっぽう、武士としての信念と現実の狭間で揺れる辰之進には、その心を試すように常に暗い“影”がつきまとう。情け容赦ない戦、愛する人の死、そして迎えた、故郷伊予松山最大の窮地…。激動の時代を愚直に生きる三人が見た希望の光とは!?
著者等紹介
天童荒太[テンドウアラタ]
1960年愛媛県松山市生まれ。86年「白の家族」で野性時代新人文学賞を受賞。93年『孤独の歌声』が日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『家族狩り』で山本周五郎賞、2000年『永遠の仔』で日本推理作家協会賞、09年『悼む人』で直木賞を受賞。13年には『歓喜の仔』で毎日出版文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
172
図書館の配本の関係で、少し間が空きましたが、上・下巻、800頁弱完読しました。著者の新境地、良作だとは思いますが、初めての歴史小説のせいか、新聞の連載のせいか解りませんが、著者の現代小説における深み・凄みが感じられませんでした。 著者は、現代小説の方が良いのかも知れません。 https://mainichibooks.com/books/novel-critic/post-694.html2024/10/25
いつでも母さん
127
「戦なんて、している場合じゃない・・」なのに。[遺された者は幸せに生きる務めがある][逝く人を安心させるのは、一番の祈りぜよ]大好きなあの人が言う意味は今を生きる私たちの胸にも響く。ヒスイ、救吉、そして辰之進が動乱の時代を駆ける下巻、ブレない思いや願いが心地よかった。新聞掲載ということでちょっと長いけど(汗)天童さん初の時代もの、歴史上の人物との関係を上手く手繰らせていたと思う。ただ、私の中の天童さんはもう少し重くて、苦しいんだよなぁ・・(当方比)2024/11/03
ウッディ
102
幕府の命で長州との戦いに出陣した伊予軍に同行したヒスイと救吉。戦を嫌いながらも、その戦いで命を落とす者を減らすため、敵味方関わらず、懸命の救護活動を行う二人の思いは、龍馬や高杉など幕末の日本で重要な役割を担った傑物たちの心を動かし、やがて伊予藩を救うことになる。フィクションながら、今よりもずっと人の命が軽く扱われていた幕末期に、彼らの願いと二人が取った行動は、清々しいものであった。先の見えない動乱の時代に生きた人々、命を懸けるにはあまりにもつまらない名誉や意地よりも大切なものがあることを教えてくれた。2025/03/31
遥かなる想い
93
下巻は池田屋事件から始まる。 激動の幕末の流れの中で、親藩である伊予松山藩はどうなるのか…坂本龍馬、高杉晋作などを 登場させながら、第二次長州征伐・朝敵となった伊予松山藩でのヒスイたちの苦闘を描く。 2024/11/12
のぶ
84
良くできた群像劇だった。下巻では上巻からの流れで、多くの出来事が描かれているが、幕末から維新で起こった戦いに多くを割かれていた。ヒスイと救吉は戦を避けるべくその場に出向いてひたすらに努めを全うする。その姿に心を打たれる。このふたりの言葉に、天童さんのメッセージか込められているように感じられた。他にも龍馬との再会や、最期の現場でのシーンなど感動で涙が溢れてきそうなところがいくつもあった。激動の幕末を駆け抜けるような作品だが、当時のオールスターが幾重にも絡んでいて、とても面白く読み通す事ができた。2024/10/22
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