出版社内容情報
毎日新聞連載時から大反響。『下流の宴』から7年、林真理子が「介護」という国民の大問題に挑む唯一無二の長編小説、堂々刊行!
林真理子[ハヤシマリコ]
内容説明
突然終わりを告げる、平穏な日々。「貧者の逆転劇」の結末は―東京・広尾の高級介護付きマンション「セブンスター・タウン」の受付係・細川邦子(48歳)、看護師の田代朝子(54歳)、ダイニングで働く丹羽さつき(52歳)…それぞれの家庭内で深刻な介護問題を抱える3人は、困窮していく我が身と、裕福な施設の入居者たちとの想像を絶する“格差”を前に、一世一代の勝負に出る!
著者等紹介
林真理子[ハヤシマリコ]
昭和29年(1954)、山梨県に生まれる。昭和51年(1976)、日本大学芸術学部文芸学科を卒業。コピーライターを経て、昭和57年(1982)、エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』を出版。昭和59年(1984)、処女小説『星影のステラ』が直木賞候補に選出されたことを機に、執筆業に専念。昭和60年(1985)、『最終便に間に合えば』『京都まで』により第94回直木賞を受賞。平成7年(1995)、『白蓮れんれん』により第8回柴田錬三郎賞を受賞。平成10年(1998)、『みんなの秘密』により第32回吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
311
読みながら、繰り返しうちの母の口ぐせ「地獄の沙汰も金次第」が頭の中をグルグル(笑)途中までは面白く読んだが、ラストの失速感が残念。2017/05/20
starbro
283
林真理子は、新作中心に読んでいる作家です。著者は多作のため、一番好きな作家ではありませんが、読書メーターでは一番読んでいる作家となっています。本作はユーモラスながら、かなりリアルな介護小説となっています。最期がこんな展開になるとは思っていませんでしたが・・・今の所、我が家には要介護の家族はいませんが、5年後、10年後を考えると不安で一杯です。2017/04/20
じいじ
176
「喜・怒・哀・楽」のすべてが盛り込まれた人間・人生ドラマは大変面白かった。48・54・52歳の三人の女性それぞれが家庭内で抱える「老人介護」の奮闘記。とかく昏くなりがちな老人介護のテーマを笑いを誘って、こんなに明るく、面白く、リアルに仕上げた著者に脱帽です。介護する側、される側の描写は、丁寧な取材の成果が窺えます。(著者は介護実体験があると耳にした)。家族間の会話がリアルで巧い。場面の映像が目にうまんできます。何年ぶりかで読んだ林真理子の力作は読み応えがありました。2017/04/13
いつでも母さん
142
若い時から頑張って高い地位と収入を手に入れた人たちが人生に相応しい、快適な所に住むのはあたりまえ―と言う福田がGMの高級介護付きマンション。ここの利用者とここで働く三人の女達の事情・・途中まではぐいぐい引き込まれたものの、ラストに向かうあたりは現実離れしていてちょっと引いた。が、林真理子が言いたい事は伝わる。この三人から発する言葉に介護が他人事ではない自分の心が重なる。現実はどうだ?介護に疲弊する家族。介護を取り巻く環境。人員不足に低賃金等々。パラダイスなど夢!な~んて興ざめしてしまう私だった。2017/04/23
ひろ
131
一気読み。介護という重いテーマをここまで面白く書ける林真理子はやはり凄い。ハチャメチャなラストは胸がすく。格差社会は老後もピンキリだ。長生きしても家族に迷惑は掛けたくない。ジムのインストラクターが「歩いて入ろう棺桶に」を目標に(笑)、健康寿命を延ばしましょうと言うが、まことにその通りだと思う。2018/02/24