出版社内容情報
父には知らない顔があった。美汐、27歳。瀬戸内海の逃避行、追ってくる相手はあまりにも大きいー。震災後文学の最高峰、「核」めぐる究極のポリティカル・サスペンス誕生!
内容説明
28年前の父の罪を負って娘は逃げる、逃げる…「核」をめぐる究極のポリティカル・サスペンス!
著者等紹介
池澤夏樹[イケザワナツキ]
1945年北海道帯広生まれ。作家、詩人。88年『スティル・ライフ』で芥川賞、93年『マシアス・ギリの失脚』で谷崎潤一郎賞、2000年『花を運ぶ妹』で毎日出版文化賞、11年個人編集の世界文学全集で朝日賞、ほか受賞多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けい
90
主人公「美汐」の瀬戸内海を主舞台にした大逃走劇。地元も逃走経路の一部という事もあり、楽しんで読む事が出来ました。ちょい役で登場する人物達の姓が村上・住友・雑賀とアウトローだったのにもちょっと受けた。美汐が父より託されてしまった難しい選択、彼女が自らの思いとともに下す決断とは?物語の最後の最後、ある人物が取る行動が全てを締めくくります。久々の一気読み、面白かったー。2014/05/18
ゆみねこ
88
これは面白かった!キトラ・ボックスを先に読んでしまったので、結末の予想はついていたけれど、それを差し引いても読みごたえがあって良かったです。瀬戸内の小さな島で漁師をしていた父が死の直前に娘に託した大きな秘密とは?秘密の内容もさることながら、逃亡劇としてもとても面白くてスリリング。お勧め本です。2017/06/14
WATA
81
本書の内容を3つの言葉で表すと「逃亡者」「島」「原子力」。無実の人間が警察に追われながら真実を探る逃亡劇、という古典的な枠組みに、離島の人々の日々の営みという地誌的な内容をうまく織り込んだ良質な物語。フィクションと知りつつも「もしかしたら本当にあったことかも」と感じるのは、作者の話の作り方がうまいからなのだろう。スピード感のある逃走劇として読んでも、原子力をテーマにした社会派サスペンスとして読んでも面白い1冊。物語の中に瀬戸内の島がたくさん出てくるので、日本地図を開きながら読むとより一層楽しめます。2014/08/14
naoっぴ
78
亡くなった父に託された謎のフロッピーディスクを守るため、公安警察の追撃をかわしながらの大逃走劇が繰り広げられるスーパーエンタメ小説。アップテンポでライトな雰囲気ではあるけれど、核兵器と原発、国際政治問題を扱い、フィクションながら北朝鮮やアメリカが真実めかして出てくるあたり、ちょっと怖いなと思わされた。読みやすい作品で一気読み。2017/06/26
ナミのママ
72
こんなに読みやすい作家さんだっけ?とまず驚きました。亡くなった父から預かったモノを持って島から東京へと逃げる前半はストーリー展開も早いです。その部分だけでも楽しめましたが、登場人物の人となりが丁寧で深みがあります。会話として出てくる「知識」もなかなか味があって、あぁやっぱり池澤作品だと感じます。3.11以降「核」を扱った作品は多々ありますが、作家さん、それぞれのメッセージが伝わってきます。良かったです。2017/04/02
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