内容説明
自由を求めて長崎にたどり着いた放浪者は、一代で巨万の富と強大な権力を手に入れた。台湾征服を夢見た妄想家?信仰を捨てた放蕩者?秀吉・家康を手玉にとった陰謀家?数千人の切支丹を救った聖人?信仰とは、人生の意味とは…謎多き長崎代官・村山等安の破天荒な人生を描く感動の歴史巨編。
著者等紹介
典厩五郎[テンキュウゴロウ]
1939年東京生まれ。立命館大学文学部卒。新聞記者、シナリオ・ライターを経て作家に。87年『土壇場でハリー・ライム』で第5回サントリーミステリー大賞の大賞・読者賞をダブル受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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けい
47
初読みの作家さん。安土桃山から江戸初期にかけての外国との貿易やキリスト教の布教がまだ認められていた夢のあった時代の長崎に、長年代官を務めた村山等安を主人公とし、当時の日本の時代背景や世界の事情を描く物語。落ちぶれて行くポルトガル、台頭するスペイン、そしてオランダ・イングランド。あまり知らない時代だけに思わずお勉強状態。次々と変わって行く時代の中で一時の夢を見せてくれる興味深い作品でした。2013/11/29
べあべあ
7
20年近くぶりに読んだ典厩さんの作品、歴史好きの方には絶対お薦めの作品で目から鱗、鱗、また鱗でした。読メで登録されている方がこれしか居ないなんて、、、不思議。日本布教でのイエズス会と修道会の対立、有馬藩の混乱、天正少年使節の一員ながら教会を焼き信徒の処刑を勧めるまでに落ちた千々石ミゲル、豊臣・徳川のキリスト教禁制の歴史など、勉強になった~。ただ物語が面白くなるまでが長い!(私は150頁くらいから)、そして典厩さんが何が書きたかったのか分かるのはもっと先~。でも私には素敵な小説でした。2024/01/05
sataz
2
獅子の城塞、遺産と大航海時代に絡む本が続いた。これは長崎が開かれた時代の国内の話だけど、キリスト教布教は必然的に関係してくる。 長崎の初代代官になった村山等安の生涯を描いているが、イエスズ会や托鉢修道会の神父達も多く登場し、長崎の自由に溢れた一時と、秀吉や徳川二代からの禁教に至る時をも同時に見せてくれている。街そのものの変遷に引かれるし、そこをある意味主導した等安の生き方も興味深い。ただ歴史背景の説明が多く、読むのに時間がかかった。 以前の作品群の方がスピーディに進んでいたと思う。力が落ちた気が・・2014/02/15
らむたん
0
長崎は日本の中心だったと認識を改めさせられた。昔の人は勘違いされても弁明しないのだな。上の都合で歴史を変えれるぐらいだからわかってもらおうとすることに何の意味もないからだろう。意に染まぬことをしたときその一族ごと消えさってしまうという恐ろしい時代。 主人公の等安の血はどこにも残っていない。現代であればそのような結末はおもしろくないが、こういう時代だったのだとある種すっきりした結末。本の構成がよくない。またクライマックスに至っては作者を登場させ作り物が出たが、等安の牢屋での夢の話がうそくさくなり浸れなかった2017/01/06