内容説明
「一度だけこの杖を投げ捨てて、おじいちゃんが旅に出たことがあるの」引っ越しの日、押し入れから出てきたおじいちゃんの杖。わたしは、一番触れたくなかったおじいちゃんとわたしの最後の旅の話を、彼に語りはじめた。―「おじいちゃんと孫娘が旅行に行ったのか」“五十年間ニシンを待ち続けた男”という記事に興味を覚え、僕はその孫娘・春を取材し、老人と孫娘を題材にした映画のシナオリを書き始める。やがて春に強く惹かれていった僕は、だがその愛ゆえに、映画の話を告げられずにいた―。
著者等紹介
小林政広[コバヤシマサヒロ]
1954年、東京生まれ。フォーク歌手、シナリオライターとして活躍後、初監督作『CLOSINGTIME』で97年、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭グランプリを受賞。2007年、『愛の予感』でロカルノ国際映画祭金豹賞(グランプリ)ほか3賞を同時受賞。おもな監督作に『海賊版=BOOTLEG FILM』『歩く、人』『バッシング』『ワカラナイ』などがあり、カンヌ国際映画祭、ロカルノ国際映画祭ほか多くの映画祭に出品し、各賞を受賞している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おさむ
13
映画がとても良かったので原作本を読了。本編の終わりかたが寂しすぎたので、幸せなプロローグや細かいエピソードが盛りだくさんで面白かった。「男というのは自分で自分を誉めてやれるような人間にならなくてはダメ」という台詞にしびれます。2014/07/03
鈴木先生
3
自分の将来に不安を感じ、いても立ってもいられなくなる時はある。だから、同じ不安を抱えながらでもガハハと笑ってくれる人とじゃないと暮らしていけないかも。春との旅は映画になったのかな?最初の動機がなんであれ、子供までできちゃったら映画だってなんだって有りなんじゃない!男だって、いつまでも最初の打算だけで家族作れるほど強くないよネ。2014/08/17
長老みさわ/dutch
3
所謂ノベライズ本とは一線を画す小説で、物語は現在の「春」の一人称、「春との旅」の映画のシナリオを書こうとしている「僕」の一人称、「僕」が取材先で聞いた人々の語る視点の文章、誰でもない三人称と色々と視点を変え、時間経過もばらばらに並行に描かれる。そして内容は、映画に描かれる「旅」に至った経緯としての忠男じいちゃんの生い立ち、春の母一子さんのこと、一子さんと春の父真一の事などがそれぞれの立場から断片的に描かれ、映画本編のことについては詳しくは描かれていないのです。「それは映画を見てくれ」って感じでしょうか。小2010/06/09
ポリリズム
1
以前映画になったような、、と思い図書館で借りて読了。 男が夢を追い続けるのはすごいと思うが、それを支えるために女性達が犠牲になってきたことは、何というか、そういう時代だったとはいえ切ない。家族の為に夢を諦めることも立派な決断だと思う。きっと春と圭は最後はどちらも手に入れたのだろう。幸せな結末で良かった。2023/11/23
saku
1
映画も観たい。2010/08/02
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