内容説明
日比谷騒擾事件に揺れる日本。森宮では「熊野革命五人団」が暴走する―。運命にあらがう“生”。人びとをのみ込む、新しい時代。辻原文学の集大成。豊饒な物語世界、ついに完結。
著者等紹介
辻原登[ツジハラノボル]
1945年、和歌山県生まれ。90年「村の名前」で芥川賞、99年『翔べ麒麟』で読売文学賞、2000年『遊動亭円木』で谷崎潤一郎賞、05年『枯葉の中の青い炎』で川端康成文学賞、06年『花はさくら木』で大佛次郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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遠江守
5
和歌山の架空の町森宮を舞台に展開される様々な人間模様。歴史と人との交錯が様々なドラマを生み、うねりのように人々を翻弄する。スケールの大きな作品で読み終わって何とも言えない充足感を得る。実在の人物やそれに模した人物が登場し、思わずにやりとする場面も多々あり本当に堪能できました。主人公槙医師の恋の行方も気になって最後までどきどきでした。2010/01/04
すもも
3
個性光る人物が多く、救われない事が多々描いてある中に、心優しきドクトル槇や女親分の粋な計らいなどがちょいちょい描かれてて、読んでいてとても小気味好い。2010/01/23
Roadblue
2
上下巻読了しました。時代は明治後期、舞台は日露戦争前後。和歌山県新宮市。主人公の医師槙は、幸徳秋水らとともに大逆事件で処刑された大石誠之助をモデルにしています。大石の甥にあたる人は、作者辻原が出た文化学院の創立者の一人でもある、ということで和歌山出身で社会党(左派)の父を持つ辻原にとって大石誠之助というのは深い思い入れのある人物なんでしょうね。にぎやかで面白い読み物でした。地元新宮を中心にボンベイ、大連、淡路島生石岬などを舞台に多彩な登場人物が個性豊かに忙しく立ち回り読んでいて飽きない面白い小説でした。2016/02/01
ぴぴ
2
モデルとなった人物のことを先に知ってしまったため、ヒヤヒヤしながら読みましたが違う結末でほっとしました。凄く面白かったです。日露戦争中の話ですが知らないことが沢山あり興味深く読むことができました。ドクトル槇と婦人が切ない(>_<)2013/06/17
ゆずこまめ
2
確かに大河小説です。NHKでドラマ化されそうな雰囲気。広げきった風呂敷がきちんとたたまれてほっとしました。勉がいい人すぎる・・・2012/01/18