内容説明
ある日突然、ロンドン社交界に登場した美貌のメリオット兄妹―彼らには大きな秘密があった。本当は姉と弟なのだが、身を隠すために性別を入れ替え、兄と妹に扮しているのだ。若い紳士ピーターを装うプルーデンスは、偶然知り合った年上のサー・アントニーに物怖じしない青年と気に入られ、社交界のよき指南役として何かと面倒を見てもらう。プルーデンスは温かな友情を喜ぶが、ときおり探るように見つめてくるサー・アントニーの鋭いまなざしに不安を覚えて…。ヒストリカル・ロマンスの祖が描く、ユーモアと波瀾に満ちた傑作。
著者等紹介
ヘイヤー,ジョージェット[ヘイヤー,ジョージェット][Heyer,Georgette]
1902年英国生まれ。74年に死去するまでに約60作の著作を発表。綿密な時代考証に基づき、リージェンシーをはじめ英国の歴史を舞台にした恋愛小説を多数著し、現代のヒストリカル・ロマンスの原型となった
後藤美香[ゴトウミカ]
東京都生まれ。獨協大学外国語学部英語学科卒。外資系生命保険会社勤務を経て、翻訳の世界へ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たまきら
32
1928年出版のヒストリカルロマンスです。登場人物がみんな個性的で、魅力いっぱいです。ジャコバイトに加勢したせいで偽名を使うだけでなく、体格のいい姉は男性に、華奢な弟(大変な美女)は女性に変装しています。対する男子は大柄おっとり貴族さんで、けだるげで眠そうにしているため彼の聡明さにあまり人が気づかない…という設定。ね、笑えるでしょう?そこに狂言回しのとんでもないオトンが登場し、引っかき回しながら神のようにすべてをおさめていくんです、あはは。ロマンスの教科書のような作品でした。2023/02/20
kaoriction@本読み&感想リハビリ中
23
ジェイン・オースティンの流れを組み、ヒストリカル・ロマンスの祖と言われるジョージェット・ヘイヤー。作家の中にも彼女の熱狂的なファンがいるという。初読み。シェイクスピア『十二夜』以降でいちばんの「入れ替わりもの」と言われる、兄妹入れ替わりロマンス。最初は誰が誰?という感じで、ストーリー展開も王道だが、個性豊かな人物造形、機知に富む会話、ユーモアとテンポの良さで読む手が止まらない。呆気なくメリオット兄妹の正体を見破ってしまったサー・アントニーと、ロマンス要素はちょっと物足りないが、まぁ、よいか。楽しかったし。2014/06/23
モルテン
18
思いがけず、かなり面白かった。男装女装姉弟。姉が男装して男性のふりをし、弟が女装して女性のふりをしてロンドンへ向かう途中、駆け落ち事件に遭遇し、二人とも気になる人と出会う。けれど、男装女装をとくわけにもいかない……。/面白い。テンポが良いし、王道を外さないし(仮面舞踏会で変装をといて意中の人と会う!)、事件がいくつも起こって読者をどんどん引っ張っていく。これが1928年の作品か?2017/08/20
しましまこ
14
ロンドン社交界に登場した美貌の兄妹。実は男装の姉と女装の弟。唐突な恋愛展開にイマイチ付いていけず、二人の父もよく分からんお人でした。2016/04/14
夜の女王
10
☆☆ 「十二夜」のような男女交代物語。が、ヒーローのアントニーはオーシーノ公爵ほど間抜けではなく、早々とヒロインの男装を見抜きます。話の展開が速くて飽きないけど、短い中にあれこれ盛り込みすぎなので、登場人物の掘り下げがイマイチ。これが書かれたのが1929年!てことを考えると、この手の通俗小説にはそこまで求められていなかったのかも。登場人物の会話や行動が少々古臭く感じるのも時代かな?古き良き時代のハリウッド活劇映画を見ている感じでした。2013/02/23