内容説明
1988年12月。アメリカ東海岸を血に染めた抗争に敗れ、多くの仲間を失ったダニー・ライアンは、わずかな味方とともに西へと逃亡する。禍根を残すイタリア系マフィアとFBIの執拗な追跡に次第に追いつめられるなか、当局から自由と引き換えに危険な仕事を持ちかけられたダニーは賭けに出るが―。メキシコ麻薬カルテル、ハリウッドの裏側も巻き込む男たちの争い。全米ベストセラー3部作、第2弾!
著者等紹介
ウィンズロウ,ドン[ウィンズロウ,ドン] [Winslow,Don]
数々の賞を受賞し高い評価を受ける世界的ベストセラー作家。『野蛮なやつら』『キング・オブ・クール』『ザ・カルテル』(以上KADOKAWA)、『ダ・フォース』『ザ・ボーダー』『業火の市』(以上ハーパーBOOKS)といったNYタイムズ・ベストセラー作を含め、これまでに23冊を上梓
田口俊樹[タグチトシキ]
英米文学翻訳家。早稲田大学文学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
283
流浪の末にハリウッドに辿り着くダニー一行。華やかな虚業の裏側に食い込んで力をつけていく流れかな?と期待していたのに、お母さんの家でニートしながら時々、強盗やたかり屋に精を出しているだけにも見えて、イマイチ大物に成りきれない。地元のモレッティファミリーのその後がお得意の群像劇で描かれ、キャシーの意外な顛末やピーター夫妻の最期と、血の匂いは主にそちらで濃い。『犬の力』シリーズと比較すると、暴力や殺戮の描写が圧倒的に少なく、どこか気の抜けた進行であり、これが最終作での爆発のための溜めであればいいのだが。2023/07/01
Tetchy
114
物語は今回も流転した。ただこれまでと違い、張り詰めた雰囲気からロマンス風味が強くなった。本書の原題は“City Of Dreams”、『夢の市』だ。それは“夢の都ハリウッド”を指しているようだが、ダニーが一流美人女優と恋仲に落ち、世間の注目を集めるセレブの仲間入りをする、逆シンデレラ・ストーリーを実現させた夢の街という意味もある。この三部作のメインテーマはマフィア同士の抗争だと思われたが、実は女性を、それも極上の美女を巡る、男の面子を掛けた戦い、という本能的な衝動を描いたサーガだと今更ながらに気付いた。2025/01/26
のぶ
92
ダニー・ライアン三部作の第二弾。感想を一言で言えば、ウィンズロウらしいハードでストレートなギャング小説で圧倒的な面白さに満ちている。一人の女性を巡るマフィア同士の抗争に巻き込まれたダニー・ライアンが仲間と共に自由を求め、逃亡し、家族のために全うな人生を送ろうともがき苦しむ。やっと掴んだと思った幸せな時は砂漠の陽炎の如く消えていくが、それでもダニーは諦めずに安息の時を追い求める。今回はテーマが映画製作に関わる作品なので、前作のような派手さはなく、比較的静かな雰囲気で続いていく。第三弾に期待が高まる。2023/07/01
タツ フカガワ
76
ダニーは1歳半の息子イアンと父マーティ、それにわずかな仲間たちと西を目指して逃亡。絶縁状態だったラスヴェガスの母親マデリーンの許に一時身を隠し、新たな生き方を模索する。そのころハリウッドでは、ダニーが関わった抗争事件の映画化が進んでいた。読みどころはいろいろあるけれど、なんといっても“まっとうに生きられるほど稼いでも、まっとうに生きられない男たち”の危うい生き方にぐいぐい引き込まれる。ああ面白い! 次はいよいよ最終巻。2024/07/23
stobe1904
52
【ダニー・ライアンシリーズ②】前作でロードアイランドから西へ逃亡したダニーたちがたどり着いたのはカリフォルニアのサンディエゴ。連邦捜査機関やロードアイランドの旧敵から追われる中、目立たないよう行動するダニーたちだが…。『犬の力』シリーズのような圧倒的な世界観に飲み込まれるような没入感はないが、どうにもダニーの行く末が気になってしょうがないのがこのシリーズの魅力かな?次作の『終の市』はとても楽しみだが、ウィンズロウの最終作となってしまうのが、なんとも寂しい。★★★★★2024/06/30