内容説明
出版社社主の父の突然の死の直後、大きな裏切りがセアラを襲った。少女時代から憧れ、頼りにしつづけてきたビンセントが、友人である亡父の日記を盗み読みしているではないか。「ぼくにはきみの知らない一面がある。きみがこれを読む前に、自分の口から告白したかったんだ!」悪びれもせず、ビンセントの黒い目は決意に光っていた。セアラの父は、暗い過去をもつ中年の人気推理作家である彼とひとり娘の仲を案じて、セアラの十八歳の誕生日に、一生男女のつきあいはしないとの約束を彼からとりつけていたのだ。父の日記からこの事実を知ったセアラ。七年間のロマンチックな夢が、ばかげた屈辱へとかわっていく。ビンセントの必死の言葉も、今のセアラの耳には入らなかった。
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- 和書
- 平成記